ディープインパクト「後継新種牡馬」レース(2)ダービー馬はダービー馬から

 それだけに、今年産駒をデビューさせる新後継種牡馬への期待は、いやがうえにも高まってくる。主なディープ産駒の新後継種牡馬はキズナ、スピルバーグ、リアルインパクト、ワールドエースなどだが、とりわけ産駒登録数182頭と、新年度種牡馬の中でも最多数を誇るキズナへの注目度は高い。キズナのシンジケート会員の一人はこう話す。

「母親のいいところを引き出し、オーラを放っている2歳馬が多い。期待は大きいですよ。ノーザンファームの仔も10頭以上いますからね。目標とする『ダービー馬はダービー馬から』を、ぜひとも成し遂げたい」

 キズナを生産した前田幸治氏によると、産駒は父に似て筋肉質の馬体で、スピード豊かなタイプが多いそうである。

 その中で早くも評判となっているのは、6月23日の阪神・芝1800メートルでデビュー予定のリメンバーメモリー(牡)。母フィオドラがドイツ・オークス馬という血統のよさもさることながら、しぐさや走り方、性格に至るまで父とよく似ているとか。管理する佐々木晶三調教師も「走りだすとグッと沈む。モノが違うかもしれない」と自信ありげだ。

 スピルバーグはディープ産駒の牡馬として初めて、2000メートル以上の国内GⅠ(14年、天皇賞・秋)を勝った馬。

「産駒は体がガッシリして、緩さがない」

 と、牧場関係者は言う。 一番バッターを務めそうなのは、藤沢厩舎のウインドジャマー(牡)で、

「10年・共同通信杯の勝ち馬ハンソデバンドの半弟で、6月16日の東京・芝1600メートルでデビュー予定です。5月上旬から美浦の坂路で熱心に乗り込まれており、仕上げに抜かりはありません」(トレセン関係者)

 リアルインパクトはどうか。自身はディープインパクトの初年度産駒で、3歳で安田記念(GⅠ)、7歳でジョージライダーS(豪・GⅠ)を勝っている。丈夫で衰え知らずというのが魅力で、シャトル種牡馬として日本、豪州を行ったり来たりしている。

 すでに道営(門別)では、ハニーリン(牝)が5月22日、2着に4馬身差をつけて圧勝。幸先のいいスタートを切った。

「その勝利がダート1200メートル戦だったように、産駒はマイル以下の距離で活躍しそうです。もちろん、芝もOKですね」(競馬ライター・兜志郎氏)

 ディープ産駒以外の新種牡馬に目を向ければ、キズナと並んで評価が高いのが、現役時代によきライバルだったエピファネイアである。

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