“160キロ”大船渡・佐々木のほかに逸材出現で岩手は大混乱

 101回目の夏は、日米スカウトが岩手集結となりそうだが、求心力を発揮しているのは“令和の怪物”大船渡高校の佐々木朗希だけではない。

「大船渡は春季岩手県大会の初戦で消えてしまいました。注目の佐々木は、同試合で投げていません。同校の試合を観ていると、監督は佐々木に無理をさせるつもりは全くなく、むしろ意識して佐々木を引っ込めているような印象を受けました。佐々木のワンマンチームにしない、という姿勢がほの見えるように…」(在京球団スカウト)

 160キロ強を投げる怪物を擁するとて、甲子園まで勝ち上がるのは一筋縄ではない。初戦敗退となった同試合だが、先発したのは背番号「10」をつけた2番手投手。「4番・右翼」で出場した佐々木に交代させるチャンスは何度もあったが、監督は動かなかった。

「佐々木が投げないのなら、夏の岩手県大会は本命不在の混戦になる」という記者もいるが、その背景にはライバル校の実力アップもあるという。菊池雄星、大谷翔平を輩出した花巻東がジンワリと地力をつけてきたのだ。

「西舘勇陽投手がひと冬越えて、球速も球威もレベルアップしています。菊池や大谷のような突出した存在ではありませんが、伸びしろのある逸材。花巻東がチーム力を上げてきたので、どこが優勝してもおかしくはない状況です」(スポーツ紙記者)

 近年、夏の甲子園大会のネット裏にはメジャーリーグのスカウトも陣取っている。米球団はドラフト候補となった高校球児を直接指名することはできないはず。しかし、メジャースカウトは彼らの将来の米挑戦に備えているのか、高校球児の調査を続けてきた。

 こうした米スカウトの行動に重なって、こんな情報も聞こえてきた。

「大船渡の佐々木に対し、日米スカウトは練習試合にまで足を運んでいます。でも、佐々木だけを見ているのではありません。野手の木下大洋に興味を示す声も出始めました。粗削りですが、スイングスピードは強豪校に行っても引けを取りません」(前出・在京球団スカウト)

 磨けば光る原石もいるようだ。甲子園出場が約束されていない地方の雄を視察するため、今年の夏は「スカウトが岩手に集結」となりそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

スポーツ