センバツ選考問題にはダンマリも…高野連が指導者に見せた「表」と「ウラ」の顔

 称賛と非難の両方の声があがっている。

 日本高野連が、センバツ大会の選考における東海地区準優勝・聖隷クリストファー校の落選について、「これ以上の説明は差し控えたい」と発表したのは2月10日のことだった。
 
 東海地区に振り分けられた出場校数は「2」。優勝校の日大三島と、準優勝の聖隷クリストファー校が順当に選ばれると思われた。しかし「勝てる要素が」「総合的判断で」を理由に、4強の大垣日大が2校目に選出された。日本中の高校野球ファンから「なぜ?」の疑問が寄せられ、静岡県高野連が質問状を渡していたのたが、

「選考内容は、公開になじまない」

 と、それを一蹴したのだ。

「センバツ大会では大垣日大が好奇の目に晒されてしまわないか心配です」(学生野球担当記者)

 高野連は「加盟校指導者から思いや意見があれば、お届けいただきたい」とも伝えていたが、これで幕引きとはいかないだろう。しかし、その1週間ほど前には、現場の意向を汲んだ柔軟な姿勢を見せていた。

「高野連加盟校は、例年12月1日から3月7日まで対外試合禁止と決められています。しかし、今年は3月5日からOKとなりました。センバツ大会が去年よりも1日早い3月18日の開幕となったためです」(同)

 開幕日程が1日早くなって、6日解禁ではなく5日解禁としたところがミソのようだ。現場指導者の監督、コーチたちはかなり喜んでいるという。
 
「5日が土曜日、6日が日曜日。解禁日が1日だけ前倒しになるのと、2日前倒しになるのとで、球児たちにはたいした違いはないでしょう。でも、現場指導者にとってはありがたい限りです」

 都内私立校の指導者がそう言う。

 なぜ、現場指導者たちがこの日程を歓迎するのかというと、彼らの大半は学校教員だ。3月は卒業式や学期末の事務作業もあり、一部高校では修学旅行も組み込まれている。修学旅行の引率はしないとしても、引率教諭がいなくなる間、代理で授業を受け持つなど、留守番の先生たちも多忙となる。

 例年通り3月8日の解禁であれば、平日火曜日なので実際に対外試合を行うのは「12日の土曜日から」となる。センバツ出場校は1週間の調整期間もないわけだ。また、出場しない高校にしても、5日に解禁となれば、5・6日の土・日曜日に試合をし、7日月曜日を休日か自主練習に充てられる。指導者たちは教員として、月曜日は学校職務に専念できる。

「この件に関しては、高野連に『現場の声』が届いていて、柔軟に対応してもらったと思います」(前出・私立校指導者)

 クリストファー校を落選させた件についてはダンマリを決め込み、対外試合の日程には「現場の声」を反映させる…。一体どちらが高野連の本来の姿なのか?
 
 当落基準の説明は行うべきだが、センバツ大会は調整万全となり、色々な意味で注目を集めそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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