センバツ甲子園で東海地区準V校が“落選”した理由は何だったのか

 1月28日、第94回センバツ高校野球大会(3月18日開幕)に出場する32校が発表された。オミクロン株の感染拡大に揺れる日本社会に勇気を与える大会となるはずだったが、いきなりケチがついてしまった。東海地区の代表校として、準決勝で敗れた大垣日大が選ばれ、決勝戦に駒を進めた聖隷クリストファーが落選となったのだ。

 東海地区選考委員長・鬼嶋一司氏は意見が分かれたとしながらも、「選手個々の力量に勝る」「甲子園で勝つ可能性を客観的に判断」と、大垣日大を選んだ理由を説明していたが、集まった取材陣は首を傾げるばかりだった。

「昨秋の東海地区大会の優勝校・日大三島、準優勝の聖隷クリストファーでいいんじゃないのか」(アマチュア野球担当記者)

 たしかに、大垣日大の左腕・五島幹士(2年)、1年生右腕・山田渓太の両投手は評判が良い。また、同校を率いる阪口慶三監督といえば、かつて東邦高校を指揮し、“バンビ”坂本佳一投手を擁し夏の甲子園を賑わせた名将だ。昨年4月に実孫も大垣日大に入学しており、

「“爺孫鷹”が甲子園で実現するかも」

 と、早くもセンバツの主役に躍り出る可能性も伝えられた。

「センバツ代表が決まったとき、大垣日大は何も準備していませんでした。阪口監督がいちばんビックリしていました。日大三島、聖隷クリストファーは静岡県の高校です。東海地区として、同県から2校を選ぶのをためらったのでは。鬼嶋委員長はその質問を受け、否定していましたが」(地元メディア)

 静岡県の高校野球を取材していると、近年つとにレベルが上がっているのがわかる。「静岡県はサッカー熱が高いのでは?」と野球関係者に質問をぶつけると、どの高校も「野球人口も多いですよ。小中学生の硬式チームも盛んです」と言う。入学して間もない1年生が3年生に混じって対外試合に出るケースも少なくなく、それが上級生を刺激し、全体のレベルアップにつながっているようだ。

 近隣県の指導者は静岡県の野球レベルの高さを見てきたので、日大三島・聖隷クリストファーの2校に決まっても納得したはずだ。
 
「草薙球場(静岡県)がプロ野球のトライアウト会場に立候補したり、サッカー、ラグビーだけではなく、野球でも町おこしをと考えている自治体もあります。それが学童野球の発展にもつながりました」(同)

 選考委員会が静岡県の野球熱を知らないはずはない。いずれにせよ、大垣日大は聖隷クリストファーの分まで奮闘しなければならないだろう。

(スポーツライター・飯山満)

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