「コロナ保険」加入殺到で販売停止、保険料大幅値上げに大ブーイング!

「370円(男性。女性は340円)で一時金10万円」「3カ月一律890円で一時金10万円」

 これらは保険会社が販売していたコロナ保険。今のご時世、いつ・誰がコロナになってもおかしくないし、掛け金が安いということで人気があった。これまでは。というのもこれらの保険商品で、販売中止や大幅値上げが続きつつあるからだ。

「『コロナ保険』が初めて登場したのは20年5月です。一般的な医療保険は、入院したら1日ごとに5000円や1万円が支給されますが、退院まで受け取れないというのが一般的。ですがコロナ保険では、スタートアップ企業が月々510円からの支払いで、入院したらすぐに10万円がもらえるという保険を販売し始めたのです。すると、世間のコロナ蔓延と比例するようにして、大手保険会社からも雨後の筍のようにコロナ保険が多数販売されるようになりました」(経済ジャーナリスト)

 冒頭の2商品は、前者が大樹生命で、後者が第一生命の子会社「第一スマート保険」もの。ところが大樹生命では2月4日から販売が中止され、第一スマートはなんと約4倍に保険料が値上げされた。昨今のオミクロン株によるパンデミックで給付金の支払いが増大、収益が上がらなくなったからだ。

 これに対しSNSでは「見通しが甘すぎる」「会社休めて10万円もらえて軽症なら草」といった声があれば、同じ発想で、PCR検査が間に合わないくらい人が殺到しているのはこの保険の存在が呼び水となっているのでは?といった見方もあって、確かに十分あり得ることだ。

 とくに現在の第6波においては、ある保険では1月25日時点で10万件超えだったものが、1週間も経たない2月1日には20万件超えと加入者が倍増している。

「保険という商品は『大数の法則』と『相互扶助』の考えを基に商品が設計されています。大数の法則とは、例えばサイコロを振って『1』が出る確率は6分の1ですが、実際にサイコロを振ると必ずしも6回に1回『1』が出るとは限りません。ところがこれを何度も繰り返せば限りなく6分の1に近づきます。保険ではこれを基にリスクの確率から逆算して、必ず保険会社が儲かるように保険料を設定します。『回数』を担保するのが相互扶助で、みなさんで掛け金を払って安心を得ましょう!と沢山の人に加入してもらい、1件当たりの支払いリスクを分散するのです」(同)

 ところがコロナの場合、どんな株が蔓延しているかで大数の法則で決められるリスクの数値は異なってくるわけで、アルファからオミクロンまでの5つのコロナでそれぞれ感染力は異なり、ある研究ではデルタの10%に対しオミクロン18%と、感染力は倍近く異なる。となれば、保険商品の初期設定は必然的に破綻するわけだ。

 第一スマートでは商品パンフに、感染者数の拡大などによって保険料が変動されると明記されてはいる。だがまさかいきなり4倍になるとは誰も思っていなかっただろう。コロナ保険は他にも多数あるが、さてどれだけ今の形で残るものやら。

(猫間滋)

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