岸田総理「分科会を黙らせろ!」大パニック怒号【2】「泥棒に追い銭」の愚策再び

─飲食店がスケープゴートにされたわけですね。

E 感染拡大のたびに、ですからね。私に言わせれば単なる「飲食店イジメ」です。中でも家賃の高い大都市圏で複数の店舗を展開し、人も多く雇っている経営者にとって、協力金など雀の涙。実際、店舗縮小や完全廃業どころか、自殺者まで出かねない状況なのです。それが「無意味でも仕方ないだろ」という場当たり策の犠牲にされたと知ったら、飲食店は激怒どころではない。ただねぇ‥‥。

─ただ‥‥?

E 一方で、例えば1日の売り上げが1万円にも満たない規模の飲食店にとっては、まさに協力金バブルです。もちろんこの人たちに罪はなく、制度自体に欠陥があるわけです。飲食店に時短営業や酒類の提供中止を求めるのであれば、少なくとも前年の売り上げに応じて協力金を傾斜配分すべき。しかも収入減に見舞われているのはなにも飲食店だけではないわけですから、影響を被った国民に等しく救済金を配分するのが、あるべき姿です。

─不公平感が充満しつつあるということですか。

E それだけではありません。不公平制度はモラルハザードも引き起こします。実際、夕方までだったはずの営業時間を深夜までと偽ったり、営業するつもりの全くない新店舗を急ぎ開店させたりするなどして、協力金をせしめる飲食店主も多いと聞いています。このような実態を踏まえると、岸田総理が制度を見直すこともなく発動した今回のまん延防止措置は、公衆衛生学の常識から見て無意味であるばかりでなく、「泥棒に追い銭」とも言うべきトンデモ対策だったということにもなるのです。

─そんな中、1月19日には政府分科会の尾身会長が爆弾発言をブチ上げて大きな物議を醸しました。

B 「オミクロン株の特徴にふさわしいメリハリのある対策を打つ必要がある」とした上で「人流抑制ではなく人数制限を」「ステイホームなんて必要ない。渋谷駅前の交差点がいくら混んでいても、ほとんど感染しない」「対策をすれば飲食店を閉める必要はない」などと語った例の発言ですね。先ほども指摘したように、凄まじい感染力を持つオミクロン株の場合、事実上、感染爆発を止める手立てはありませんから、尾身会長の発言は「半分は正解」「半分は不正解」と、私の目には映りました。

D 実は尾身会長の爆弾発言には2つのウラがあるのです。ひとつは岸田総理を筆頭とする官邸、そして厚生労働省をはじめとする政府に対する不満と不信です。尾身会長は前政権時代から官邸や政府の意向を忖度しない発言を繰り返してきました。しかも先ほどCさんが暴露された、分科会メンバーによる非公式の意見具申は尾身会長の耳にも入っていましたから、19日の時点ですでに発動中だった広島、山口、沖縄の3県知事を含め「まん防など意味がない」とのメッセージを官邸と政府に突きつけたかった。これが第一の真相です。

〈座談会出席者〉

A=ウイルス学の専門家/B=公衆衛生学の専門家/C=政府関係者/D=自民党関係者/E=公共経済学の専門家

*岸田総理「分科会を黙らせろ!」大パニック怒号【3】に続く

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