M-1王者・錦鯉の悲痛過去!共に愛する人を失っていた

「M-1グランプリ2021」で最年長王者となった錦鯉が、我が世の春を謳歌している。50歳の長谷川雅紀と43歳の渡辺隆の年長コンビ。初老の域に達しつつある2人の体調を慮って、事務所(ソニーミュージックアーティスツ=SMA)のマネージャーは睡眠時間を取れるスケジュールにしてくれているという。ともに芸歴は20年超えだが、コンビ結成は2012年なので、エントリー規定が結成15年以内のM‐1には長谷川が56歳になるまで挑戦できる。

“おバカすぎるおじさん”こと長谷川は、陽気なキャラ。だが、辛い過去を背負っている。地元の北海道の高校時代に出会い、お笑いの世界に誘ってくれた元相方を病気で亡くしているのだ。

 元相方は久保田昌樹さん。吉本興業が初めて北海道にタレント養成学校・NSCを設立した1期生で、ほぼ同期にタカアンドトシがいる。2人は94年に「まさまさきのり」として芸人生活をスタートさせたが、00年に解散。その後「マッサジル」に名を改めて再結成したが、久保田さんが病気になったため、11年に再び解散した。長谷川はピン芸人「のりのりまさのり」として再始動したが、鳴かず飛ばずで借金だけがかさんでいった。

「久保田さんは芸人を辞めたあと、一般職に就いたそう。しかし、40代中盤で病に伏せると、18年8月に帰らぬ人となりました。46歳という早逝に、30年ほど苦楽を共にした長谷川さんのショックは大きかったと当時を知る芸人は話しています」(放送作家)

 40歳になり、そろそろ潮時と思ったときに、同じ事務所の渡辺に誘われてリスタートを切った。その渡辺も、最愛の人を亡くしている。母の美樹子さんだ。美樹子さんは00年、愛犬を散歩していたときに信号を無視したトラックにはねられ事故死。49歳の若さで旅立った。

 美樹子さんは、渡辺が中央学院大学在学中に「芸人になる」と言いだしたとき、「勘弁してくれ」と泣いて猛反対。しかし、渡辺はその懇願を受け入れず、大学を中退してNSCに入学した。美樹子さんが急逝したのは、その翌年。売れる姿を見せられなかったのが、渡辺の後悔だという。

 長谷川は元相方、渡辺は実母。それぞれの思いを背負って舞台に立っている。

(北村ともこ)

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