M-1王者ウエストランドが浮き彫りにした「R-1王者の悲運」

「M-1グランプリ2022」王者となったウエストランド(井口浩之、河本太)がピン芸人日本一決定戦の「R-1グランプリ」に“夢、希望、大会の価値、大会の規模”がないと毒づいたことで、歴代のR-1チャンピオンがフィーチャーされることとなった。

 実際にR-1はM-1に比べて、優勝しても全国区で通じるお笑いタレントになるケースが少ない。現在、全国規模で生き残っているのは21年のゆりやんレトリィバァ、16年のハリウッドザコシショウぐらい(コンビ芸人の優勝者は除く)。悲運のR-1王者も少なくない。13年覇者の三浦マイルドはそんな1人だ。

 地元の関西で結成している“マイルド軍団”から、後輩芸人たちが次々と売れていった。18年のM-1で歴代最年少王者となった霜降り明星。17年と18年のファイナリストであるミキ。19年の初決勝でインパクトを残したすゑひろがりず。昨年の準優勝コンビのオズワルド。「キングオブコント2016」のファイナリストのななまがり。

 錚々たるメンバーを横目で見ていた三浦だったが、19年にはあることに成功している。ハゲ治療だ。かねてから前髪の一部が残り、頭頂部は頭皮が見える状態がコンプレックスだったが、優勝しても売れなかったことで、せめて容貌だけは変えようと一念発起。薄毛治療を開始したのだ。

「前頭部から『マイルドフラッシュ!』とビームを発するのが、数少ない一発ギャグでした。しかし、ヘルスクリニックに通院し、スカルプDのシャンプー、トリートメント、外用薬を継続したことで、薄毛が改善しました。なのに、軍団員には黙って治療を進めていたので、『増毛を恥ずかしいと思って隠すなんて……』『隠さないのがかっこいいと思ってたのに』と不評だったらしいです」(芸能ジャーナリスト)

 優勝した数カ月後から月収がゆるやかに減少していき、恨み節をツイッターで公開すると、吉本興業の社員からも見放されて大炎上。重なる不運から脱するために、まずは15kgのダイエットに成功。念願の増毛もかなえた。にもかかわらず、かわいがっていた後輩たちから批判されて、散々な状況。あげくに、第18代M-1王者のウエストランドからネタで暗に小馬鹿にされたことで、冴えない過去をメディアに掘り起こされた。とことんツイていない。

(北村ともこ)

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