ナ・リーグのDH制不採用なら、“余剰人員”ということにならないか? 筒香嘉智選手がパイレーツ残留となりそうだ。地元紙のピッツバーグ・ポストガゼットが報じたもので、断定はしていないものの「その方向でまとまりそうだ」と、かなり自信を持った書き方をしていた(日本時間11月21日)。
「記事の根拠は、20日(同時間)にパイレーツのベン・チェリントンGMにインタビューし、『前向きな会話をしている』とのコメントを得たからです」(在米ライター)
チェリントンGMは「一塁手・筒香」の来季シフトを早くも語っていたそうだが、それによって、新たな疑問も聞かれるようになった。「コリン・モランはどうなるんだ?」の声だ。モランは4年連続2ケタ本塁打を放っている。今季と昨年はともに10本。少ないとはいえ、チームではケブライアン・ヘイズに次いで多い。2018年1月、トレードで入団して以来、低迷するチームを支えてきた。
「マンガみたいにモジャモジャの顎ヒゲを伸ばしていて、けっこう人気もあります」(同前)
その人気者の今季の定位置が一塁なのだ。右投げ左打ちで、年齢は29歳。三塁、外野も守るが、移籍前のアストロズ時代はDHで出場することも多かった。特徴を聞いていると、筒香にかぶる部分も多い。
「チェリントンGMは一塁に筒香をまわし、コリン・モランをDHに置こうとしています。マイナーに有望な若手がいて、その何人かが外野手なんです。筒香の一塁固定には、来季、彼らを起用していくビジョンも含まれていると思われます」(現地取材記者)
しかし、筒香とコリン・モランの両方をスタメンで起用するには、今オフ、MLB機構と選手会が協議する新・労使協定で議案提議されるナ・リーグのDH制採用が大前提となる。ナ・リーグのDH制採用に前向きな声が多いのも事実だが、
「オーナー側はチーム総年俸を抑えたいと思っており、DH制導入を駆け引きの道具にしています」(同前)
と“慎重論”も聞かれた。
筒香とコリン・モランのどちらか一方がスタメン落ちするのは、ピッツバーグのファンの望むチーム像ではない。筒香にはチームに残ってほしいが、「DH制採用は本当か?」と不安視する声もある。
「筒香は寂しがり屋な一面もあります。一人で調整できるタイプですが、これから新天地を探すよりも、チームに溶け込むことのできたパイレーツに残ったほうが良いと思う」(関係者)
コリン・モランも移籍してきたばかりの筒香に話し掛けていたという。筒香はコリン・モランと定位置を争うのは望んでいないはず。残留の正式契約はDH制の採用を確認してからになりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)