パイレーツ残留は正解だった。しかし、筒香嘉智は“ベテラン扱い”もされているようだ。まだ、31歳なのに…。
「打率は2割前後を行ったり来たりしています。でも、4番を任される試合も多いんです。21‐22年オフ、パイレーツの打撃部門の補強は『筒香の残留だけ』とも言われています」(在米ライター)
「育成重視」のチームである。未熟な選手も実戦経験を積ませながら、トップ選手に育てていく。そのなかで筒香に求められているのは、若手や移籍してきた選手のお手本となること。昨季の途中加入から間もない8月29日、劇的なサヨナラ3ランを放ち、そのインパクトでチームに溶け込んだとも伝えられているが、筒香は苦手だった速球派投手と対戦する際、バットを構える位置を低くするなど対策をしている。
また、昨季は右足を挙げてタイミングを取っていたが、今季は摺り足打法に変えている。こうした創意工夫、試合前の入念な準備などに刺激された若手も多いという。
「今季、パイレーツで注目されていたのは、投手のミッチ・ケラーです。元々期待されていましたが、今春のキャンプ、オープン戦は絶好調でしたが、ペナントレース本番ではまだ勝ち星を挙げられていません(5月7日時点)」(前同)
パイレーツの投手強化策は、リードに長けた捕手を獲得し、ピッチャーの長所を引き出そうとする。チームは今季、ベテラン捕手のロベルト・ペレスをインディアンズから獲得したが、その効果はまだ見られていない。ペレスも自身が呼ばれた理由を分かっており、筒香に各投手の性格を質問していたそうだ。
「筒香自身もバットで結果を出さないと、若手にソッポを向かれてしまいます」(現地記者)
5月2日のパドレス戦では前阪神のロベルト・スアレスからピッチャー強襲のヒットを放った。
筒香はDeNA時代からスロースターターの傾向がある。去年までのような「バットで結果を出せなければマイナー落ち」の重圧はなくなったものの、若いチームを牽引しなければならなくなった。若手を気に掛けてばかりいないで、筒香自身も本塁打量産といきたいところだ。
(スポーツライター・飯山満)