女子ダブルス元世界ランキング1位の中国人テニスプレーヤー、彭帥(35)が、共産党最高指導部メンバーの一員であった75歳の張高麗前副首相から、5年間にわたって性的関係を迫られていたとする告発文書を中国版ツイッターとも言われる微博(ウェイボー)に公開したのは、今月4日のこと。文書は30分ほどで削除されたものの、台湾メディアによりスクリーンショットが拡散、「40歳差不貞」が世界中で報道されることになった。
中国在住のライターが語る。
「彭は09年の中国選手権で女子シングルス、ダブルス、混合ダブルス、団体で4冠を達成。13年のウィンブルドン選手権、さらに14年の全仏オープンの女子ダブルスで優勝。『中国で最も成功したアスリート』のひとりとして知られています。一方の張氏は、山東省党委書記、天津市党委書記中央政治局委員などを経て、共産党最高指導部の政治局常務委員を務め、13年には、習近平政権で副首相に就任。そんな2人が5年に渡って関係を持ち、しかも性的関係を強要されていたというんですから驚きです。張氏は17年に政界を引退していますが、これが事実なら、華麗な経歴に最悪の汚点を残すことになります」
彭の告発によれば、2人が出会ったのは張氏が天津市のトップだった十数年前。だが張氏の中央進出により、不貞関係には一旦終止符が打たれた。それが張氏の引退後、再び関係が復活したのだという。
投稿には《私はあなたの家に行った。あなたの夫人と一緒に。あなたは私を自分の部屋に引き入れた。そして10数年前と同じように、性的関係を結んだ》と、夫人がいる張氏の自宅で行為に及んだことも告白。また、関係が悪化してからは《何度も自分はまだ人間なのかと自問自答しましたが、言葉になりませんでした。歩く死体になったような気分でした》などと、当時の心境が赤裸々に綴られている。
30分で削除されたとはいえ、政界のトップに君臨した人物に対し、検閲のある中国で、このような告発文書が出ることじたい異例中の異例。告発後、彭は消息不明のままだが、そんな状況を受け、14日には女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン最高経営責任者が「女子プロテニス選手の彭帥に関して、このところ中国で起こっている出来事に深い懸念を抱いている」として「適切な対応を期待する。つまり徹底的かつ公正、透明な調査を行うべきだ」との声明文を発表。
これに対し、中国政府は依然ダンマリを決め込んでいる。ツイッター上にはいまも「#WhereIsPengShuai(彭帥はどこに)」と心配する投稿が相次いでいる。
(灯倫太郎)