「新しい資本主義」を掲げる岸田首相、竹中平蔵氏起用の“新しくない”船出

「新しい資本主義」を掲げる岸田政権が再スタートして「新しい資本主義実現会議」を設置したのに続けて、9日にはさらに4つの会議を設置した。「デジタル田園都市国家構想実現会議」と「デジタル臨時行政調査会」「全世代型社会保障構築会議」「公的価格評価検討委員会」がそれで、それぞれ関係閣僚や民間の有識者で構成され、意見を求めるものだ。ところが、

「デジタルが2つあって分野が重複してくるのは当然として、各会議の線引きも分かりにくく乱立ではないかという声も上がっています」(全国紙記者)

 というように、あまり評判が芳しくない。船頭多くして船山に登るといったことにならなければ良いのだが。

 ところが新会議の設置にはさらに疑問の声があがった。この手の会議には常連の竹中平蔵氏が、デジタル田園都市国家構想実現会議の有識者メンバーに加わったからだ。これを受けネットでは、「またか」「岸田まで」といった声が噴出している。

「岸田さんが首相に選出された後の10月19日の国会で立憲民主の森裕子さんが『竹中平蔵氏との決別を勧めます』との代表質問を行った際、竹中さんはビビットに反応して自身のYouTubeの『竹中平蔵の平ちゃんねる』で、国会で個人の名前を挙げて批判するのは『言論圧迫』だとしていましたが、竹中さんレベルになればそれも致し方ないと考えるのが筋でしょう。なにしろ小泉純一郎首相時代の金融再生・不良債権処理担当時代から、政治家・閣僚・有識者会議のメンバーとして陰に陽に政権の経済政策に影響を与えてきたのは事実ですから」(前出・記者)

 ということは、日本人の給料が上がらなかったこの間の日本の「失われた20年・30年」の当事者もしくはこれを回避できなかった当の本人に当たるわけで、今回のメンバー抜擢に批判があがるのもある意味、当然というものだろう。

「竹中さんの総務大臣時代に秘書官として仕えた、今やテレビでもおなじみの岸博幸氏は菅首相時代までは内閣参与を務めていましたが、分配重視の岸田さんとは政策の路線が異なるため参与を外れました。同じく竹中さんも岸田首相からお呼ばれしないものと思われていましたから、今回の抜擢は意外でした」(前出・記者)

 もちろん首相の政策に沿った人ばかりではバランスが取れないといった見方もあるだろうが、それにしたって「またですか」と思うのが普通だ。というよりも「他に人がいないの?」と。

 さて、その竹中氏が会長を務める人材派遣のパソナは、東京オリパラのスポンサーであり、大会運営を請け負った業者でもあるが、過去最高益という。それとこれとは無関係とはいえ、なんとも腑に落ちにくい話だ。

(猫間滋)

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