「唐突感がある」「すぐに再開するのは行き当たりばったりだ」といった自民党内の声をピックアップしたのは、6月26日にオンエアされた「大下容子 ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)。21日、岸田文雄総理が「酷暑乗り切り緊急支援」として、電気・ガス料金補助を再開すると発表したのだが、この“英断”に党内からも不満の声があがっているというのだ。
支援策については、党内でも議論されていなかったようで、番組では「プロセス的に問題だし内容も骨太に反している」という自民党中堅議員のコメントを紹介したのだが、こうした不満の声に異を唱えたのが元衆議院議員で実業家の杉村太蔵氏だった。
「これ、党も要望出しているんですよね。それから党首討論でも野党から『やってもらえないか』っていうリクエスト、議論ありましたよね」と“独断”だったことを否定した杉村氏は、電気・ガス代の補助について、「このくらいの政策をリーダーシップをもって出せないっていうのもおかしいなって思いますよね」と疑問を投げかけた。
自民党支持層の中では岸田総理の支持率は「そんなに低くない」と分析し、外交面の功績を評価。6月に実施された「定額減税」についてこう続けた。
「ひとつ、『なるほど面白いな』と思ったのは政策的経費。たとえばクーポン券とか給付金だと、いろいろ政策を実現するための経費がまた税金が余計にかかってしまいますよ、と…。ところが定額減税だと、政策的経費がね、財務省の方に聞くと数百億円くらい浮くらしいんですよ。新しいやり方だと思うわけ」
杉村氏は「そんなに悪い政治はやってないんじゃないか」と岸田総理を評価し、来る9月の総裁選に向けてエールを送った。しかし、定額減税を「経費がかからない」「新しいやり方」とベタ褒めことに対して、ネット上では《経費は民間が負担しているんだよ》《民間にしわ寄せ来てるのわからない?》《新しいやり方? 歴史を学んでほしい》などと異論が噴出していた。
「90年代に入って細川内閣が20%、村山内閣が15%定率減税を実施し、98年にはアジア通貨危機などを受けて橋本内閣が2回にわけて定額減税を行いました。政策としては、けっして新しいやり方とは言えませんし、今回の定額減税では給与明細への記載が義務付けられたこともあって、多くの企業は給与計算システムの仕様変更を強いられ、経理担当社員の残業時間も急増したというデータもあります。政策的経費の軽減はけっこうですが、その分、民間企業が負担していることも忘れるべきではないかもしれません」(メディア誌ライター)
1人あたり4万円の定額減税が実施されても、岸田政権の支持率が上がる気配はない。今後はよりシンプルな支援策で国民の家計を下支えしてほしい。