小泉改革に批判的だったエコノミストが明かす。
「なにしろ『スガノミクス』を裏で操っている経済ブレーンがあの竹中氏ですから、今後は勝ち組と言われてきた正社員のサラリーマンにも大ナタが振り下ろされます。一流企業に勤める人も例外ではありません。成果を上げられず、能力なしと認定されれば40歳を迎える前に肩たたきされ、会社を追い出されます。働き方改革の美名の下、そのような肩たたきを合法化する、労働法制を含めた法改正も順次、進められていくでしょう」
当然、ダメ社員の烙印を押されたサラリーマンの転職は厳しい。仮に転職できたとしても、そのたびに給料は半減していくのだ。このエコノミストが続ける。
「結局、入社の時点から非人間的な生き残りレースを強いられ、圧倒的多数のサラリーマンは解雇や転職などを経ながら、正社員から派遣社員、そしてアルバイトへと転落の道を余儀なくされます。その道案内をしてくれるのが、竹中平蔵氏が会長を務めるパソナをはじめとする『口入れ業者』というカラクリです(苦笑)。その一方で、生き残ったごく一部のエリートが、それこそ億単位の年収で出世したりヘッドハンティングされたりして、最後の勝ち組になっていく‥‥」
なんともうまくできたシナリオだが、その竹中氏とともに「地銀再編」を菅総理に入れ知恵してきたのが証券会社やネット銀行などを運営するSBIホールディングス社長の北尾氏だ。大物議員が断罪する。
「菅総理が豊臣秀吉だとすれば、北尾氏は千利休といったところか。ただ、利休は秀吉を諫めて切腹させられたが、北尾氏は菅総理に取り入って利を得る茶坊主だ。事実、北尾氏はすでに島根、福島、福岡、静岡などの地銀をSBIホールディングスの傘下に収め、その際、再編による経営合理化などへの市場の期待感から、同社や傘下地銀の株価が上昇した。さらに、横浜銀行、山口銀行、新生銀行などに呼びかけて、三菱UFJ、みずほ、三井住友に並ぶ第4のメガバンク創設も進めているというから、何をか言わんや、だ」
この地銀再編は、国民生活にも直結する。
「竹中氏が小泉政権下で進めたメガバンク再生の時と同様、経営力の弱い地銀が再編されていく過程で断行されるのが、情け容赦のない貸し剥がし。その犠牲となって殲滅させられるのが、大多数を占める中小零細企業なのです。具体的には、貸し剥がしによる倒産、買収などが続発し、そこで働く人たちも経営効率化の名目で解雇されたり、給料を下げられたりと、影響は日本全国に及んでいきます」(エコノミスト)
ただし、地銀再編が進んだとしても、利用者の利益にはならない。かつてのメガバンク再生がそうであったように、再生して強くなった銀行は取引手数料を値上げしたり、紙の通帳の発行料を徴収したりと、好き勝手を始めるからだ。
(※)菅政権に群がる「政策商人」の素顔(3)に続く