スガノミクスを陰で操る“黒幕”の正体「地銀再編と貸し剥がしで再び悪夢が…」

 菅義偉総理(71)率いる新政権の支持率が、世論調査で軒並み60%を超えている。しかし水面下で、弱者切り捨てへ向けた布石は、着実に打たれ始めている。例えば、菅総理が新たに打ち上げた「デジタル庁構想」もしかり。「省庁や自治体のデジタル化を横断的に進めて行政の効率化を図る」とのフレコミだが、デジタル化の先にはビンボー人の財布の中にまで手を突っ込み、これまで黙認されていたわずかなズルさえ許さないという、なんともおぞましい未来図が浮かび上がってくるのだ。

 小泉政権時代、自民党反主流派の経済政策ブレーンを務めた経済アナリストも、苦々しい表情で指摘する。

「狙いはズバリ、マイナンバーカードと全預貯金口座のひもづけ、それも法的な強制力を伴ったひもづけです。これが実施されると、税務署も自治体も金融機関経由で全国民の個別の預貯金情報を捕捉することができる。夫婦2人だけでやっているような零細食堂といえども、例外ではありません。1円たりとも売り上げをごまかしてはいないか、国民年金保険料の減免措置を不正に受けてはいないかなど、徹底的に調べられ、丸裸にされてしまうのです」

 庶民のささやかな「生きる知恵」さえ許さない不寛容社会。だが、慌ててタンス預金に切り替えたところで、税務調査は最長7年前まで遡及可能になっているため、場合によってはタンスの中まで暴かれかねないのだ。しかも割を食うのは、中小零細の自営業者だけではなかった。

 経済アナリストが、さらに踏み込んで言う。

「例えば、競馬のネット投票用に開設している口座なども明らかにされてしまいます。大当たりをマスコミで公表してしまった芸能人ならいざ知らず、競馬の払戻金をいちいち税務申告している庶民などいません。ところが一連のひもづけが実施された場合、年間の払戻金の総額も捕捉可能になりますから、雑所得としてキッチリ課税されてしまう可能性があります。菅総理はそのうち『子供の貯金箱にも課税しろ!』と言いだすかもしれませんよ」

 搾取王と化した血も涙もない冷徹な悪代官ぶりは、「党内過激派」こと河野太郎氏(57)を行政改革担当相に起用したことにも、如実に表れている。さっそく河野氏は「行革はまずハンコ文化の撤廃から」とのアドバルーンをブチ上げたが、菅総理から言い渡された極秘ミッションはズバリ、「規制改革」なのだ。

 岸田派重鎮が、内実を明かす。

「規制改革もまた小泉政権時代から続く地下水脈のひとつ。なぜなら、規制撤廃で得をするのは強い者、逆に損をするのは弱い者だからだ。規制が弱い者のためにあることは、タクシーの数量規制撤廃を見ても明らか。確かに規制撤廃でタクシー料金はわずかに安くなったが、その一方で、大が小を呑み込む業界再編が急速に進むとともに、過剰供給で運転手の生活すらままならない状況に陥っている。つまり菅政権下では、弱い者が市場から締め出されるこの手の規制改革が、加速度的に進む」

 この極秘ミッションを含めたスガノミクスを陰で操っている“黒幕”とも呼ぶべき存在が、小泉総理(当時)の右腕から人材派遣大手のパソナグループ会長などに転身した竹中平蔵氏(69)だという。

「竹中氏といえば、小泉政権時代の金融再生を推し進めた立て役者。文字どおり、このプログラムで大銀行は確かに再生したが、厳しい貸し剥がしで多くの中小零細企業が倒産した。自死に追い込まれた経営者も少なくない。最近、地方銀行の再編計画がにわかに浮上してきたが、これを菅総理に入れ知恵したのも竹中氏。中小零細企業にとってはまさに悪夢、小泉改革時代の亡霊を見る思いだろう」(岸田派重鎮)

 地銀と中小零細企業とのつながりの深さは、メガバンクの比ではない。規制改革同様、大が小を呑み込む地銀再編が断行されれば、日本全土へのじゅうたん爆撃のごとく、過酷な貸し剥がしによって、莫大な数の中小零細企業が倒産の危機に瀕することになるのだ。

ライフ