接待問題が相次いだ総務省、3割が「仕事に誇りをもてない」というお寒い事情

 菅義偉・前首相の息子が絡んだ東北新社による総務省幹部への接待、さらにはNTTによる平井卓也・前デジタル相らへの接待にも関連し、相次いで高額接待問題が浮上した総務省。上層部は職務権限を盾に黙っていい思いをしておきながら、下には過酷な労働を強いているからだろうか。総務省では実に3割の職員が「仕事に誇りを持てない」という、マインドだだ下がりのお寒い現実を抱えているようだ。

「これら2社から総務省幹部が繰り返し接待を受けていた問題では、元検事らで構成される第三者委員会が設けられて実態の把握に努めていましたが、10月1日に最終報告書がまとめられました。報告書は全67ページでその後に108ページにも及ぶ参考資料が添付されているのですが、その中に、総務省内で行われた職員に対するアンケート調査が含まれているんです。それによると、総務省で働くことに誇りを持っている職員は7割で、あとの3割は誇りを感じていないというのです」(全国紙記者)

 アンケート調査が行われたのは8月。対象は末端の係員から管理職までの280人で、50歳代だけは対象者が少なくなるが、下の各世代はほぼ均等な比率で構成されている。その中、一番最初の「①総務省で働いていることに誇りを持っている。」の問いに対し、「そう思う」が26.1%、「ややそう思う」が43.2%で7割の職員は誇りをもっているのだが、「どちらとも言えない」「あまりそう思わない」「そう思わない」の誇りをもっていない人が3割いることが明らかになったのだ。

 また③の「組織のミッションやビジョンが明確であり、それが共有されている。」の問いには、肯定する職員が47.5%で、残りは否定しているのだから、半数以上の職員が行き当たりばったりで仕事をしていると感じているということだ。さらにはモチベーションが高くない人が54%いたり、キャリアの中でモチベーションが下がったことがある人が87%と、“役人仕事”ぶりがかなり伺えるのだ。

 ではなぜ士気が落ちているかといえば、モチベーションが下がった第一の理由として「残業の多さ・多忙・休みがない」ことを半数以上の職員が上げていて、以前から指摘されているところのブラック企業体質が浮き彫りにされている。

 朝日新聞がまとめたところによると、22年度予算では各省庁から残業代アップの要求が急増しており、前年度と比べて18.4%、額にしてなんと385億円にも及ぶという。省庁別の増加率トップ3では、首位が環境省の47.4%で、それに厚労省の34.6%、総務省の32%が続く。

「21年度の国家公務員総合職、いわゆるキャリア官僚への志望者数は1万4310人で、20年度に比べて2420人、14.5%の減少となり、総合職試験を導入した12年度以来、過去最大の落ち込みでした。ただでさえ高額な年俸が得られる外資系金融機関などに東大卒などのエリートが流れていることが指摘される中、こんな不祥事続きでは『日本のために役に立ちたいから』なんて志の高い学生が減ることは誰の目にも明らかでしょう」(前出・記者)

 TBSで放送中のドラマではないが、このままでは「日本沈没」も近いかもしれない。

(猫間滋)

ライフ