国としてどうなのか「ふるさと納税」に外資アマゾン参入の違和感

 アマゾンが、来春にもふるさと納税ビジネスに参入する予定があるとの報道が出ている。ふるさと納税はその名の通り、住民税や自治体の歳入に関する日本国内のドメスティックな制度。そこに世界的なテック企業がビジネス目的で入り込んでくるということで、複数の点で賛否の声が上がっている。まずは参入の“意図”だ。

「現行のふるさと納税は、過去に返礼品の高額化が横行した反省から、返礼品の上限は全体にかかるお金の30%までとされています。そして民間の仲介サイトとコールセンターなどの業務代行業者に支払う金額が約10%ずつかかり、返礼品の発送料に約7%ほど。これら経費だけで全体の金額の半分以上を超え、肝心の自治体に入るお金は40~45%程度という現実がありました。つまり、民間事業者に少なくはないお金が流れるシステムだったわけです。そこで総務省では昨年10月にルールを変更し、50%を超えていた経費を50%以内としました。そのため以前より民間事業者の旨味は減ったわけですが、それでもアマゾンが参入してくるということは、まだまだビジネス的においしいという計算あるということではないかとの見方が出ています」(経済ジャーナリスト)

 仲介サイトは、さとふる、楽天ふるさと納税、ふるなび、ふるさとチョイスの4社がほぼ独占。アマゾンはAmazon PAYの支払部分でかかわることはあったが、ECサイトとしては無関係だった。そこで、決済と同時に仲介部分まで全部持っていこうという腹なのかもしれない、という予測は成り立つ。

 しかしそれより、前述のように行政の税収入を左右するシステムに外資系企業がかかわるというのは、国としてどうなのかという違和感も生じる。

「もともとふるさと納税の理念は、今は住んでいないけど生まれたふるさとなど、かかわりのあった自治体を応援しようというもの。ところが税控除を受けられつつ、うれしい返礼品が受け取れるということで、大都市では本来入ってくるはずの住民税が逃げて行ってしまい大迷惑という問題が上がっています。そして今度はそれが外資系企業に流れることになるわけで、『それってどうなの?』という疑問が生じてくるのは自然な成り行きですよね」(同)

 もっとも、ネットやSNSでは、ECサイトでアマゾンが強いのは便利だからで、ふるさと納税も事情は同じ、という意見ももちろんある。ただし現行のふるさと納税がそもそも問題のある制度なのだから、総務省としてもそろそろ大きく動くべき時期なのではないだろうか。

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