BPOこと放送倫理・番組向上機構の青少年委員会が、「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について、審議の対象とすることを発表したのは今年8月。この事案とは無関係とはいえ、くしくもヒップ叩きやタイキックなどの罰ゲームを盛り込んだ年末恒例のお笑い番組が放送中止を発表したばかり。今後、バラエティーの仕掛けにも影響を及ぼすと見られていたが…。
10月16日に放送された「土曜プレミアム・有吉ダマせたら10万円」(フジテレビ系)で、まさに「痛みを伴うこと」で笑いを取る演出が見られたという。同番組は有吉弘行の前で、ゲストたちが二択の実演クイズを出題。みごとダマせたら10万円の賞金をゲットできるというもの。
番組中盤でアンジャッシュ・児嶋一哉とおぎやはぎ・小木博明のペアが挑戦したのは、電流を使った出題。「ビリビリ書道 本当に電流が流れているのはどっち?」と題して、書道にチャレンジ。児嶋か小木か、どちらかの腕に本物の電流パッドを装着し、書道をしている最中に通電されているほうを見抜くというものだった。
「2人は所属事務所の『人力舎』を筆で書くことになりました。小木さんは『ビリビリは苦手だからな』と言いながら筆を取って、電流が流れたタイミングで『あ〜〜!』と絶叫。児嶋さんも同様に悲鳴を上げていました。書道を終えた後、有吉さんのリクエストで10秒間、電流を流した際にも小木さんは『あ〜いて、いたっ!』と絶叫し、両手をあげて悶絶していました」(テレビ誌ライター)
有吉が選んだビリビリ芸人は児嶋だった。しかし、正解発表の際、有吉がボタンを押すと、十字ポーズで絶叫したのは小木。顔に墨汁を飛び散らせながらも、「ダマし成功」に歓喜したのだが…。そこへ有吉は高笑いしながら、またしても電流ボタンを押して「それなんなの?」と、一風変わった“電流リアクション”にツッコミを入れたのだった。
BPOの公式サイトには 《人が痛みを感じている、それもリアリティーがあるような形で痛みを感じているのを皆で見ながら嘲笑する、冷たい笑い…冷笑をするということ》が子供たちにどんな影響を及ぼすか、検討する必要があるとの委員の意見を掲載している。
番組で小木のリアクションはスタジオの笑いを誘っていたが、ネット上では《あれだけ痛がってたのにボタン押しすぎでは?》《BPO審議入りも上等?》といった意見も見られた。もっとも仕掛けが電流パッドだけに、マネする子供が出てくるとも考えにくいが一部の視聴者から疑問の声があがるのも当然かもしれない。