NHKへの猛抗議に発展した「今治タオル」技能研修生ブラック労働の行方

 NHKで6月24日に放送されたドキュメンタリー番組「ノーナレ」(NHK)が、今治タオルの縫製工場でベトナム人技能実習生たちが低賃金かつ、劣悪な労働環境で働かされている様子を伝えたことが、大きな波紋を呼んでいる。
 
「番組終了後、テレビに映り込んだ工場の建物をネットで特定する者が現れ、その看板からA社が問題の工場を運営しているとの誤った情報が広がり、誹謗中傷が殺到。しかし、この建物はA社が別の企業に貸していたものだったといいます。そのため、A社とNHK側から“番組で取り上げた工場はA社ではない”との報告を出す事態となったのです」(夕刊紙記者)

 しかし、この騒動を受け今治タオルの振興団体「今治タオル工業組合」は声明を発表。番組で取り上げられた工場について、「当組合に所属する企業ではありません」としながらも「組合員等の縫製の下請企業の工場」とし、「この問題を非常に重く受け止めております」としたのだ。

「これにネットでは《タオルの下請けって全工程丸投げされているのでは。それで組合員じゃないからって酷すぎる》《下請けだからとトカゲのしっぽ切りをして終わるつもりでは》など、厳しい意見が相次いだんです」(ネットウオッチャー)

 しかし一方、ここへ来て批判の目はNHKに向けられることに。騒動に巻き込まれたA社が放送内容について、「業界全体が放送内容のような会社であるかのように報道し、その事実を団結して隠蔽しているかのように見せたNHKをはじめとしたメディアには極めて遺憾」「放送内容のいくつかは作り込まれたものであると発覚しています」と、BPOに抗議することを発表したためだ。
 
 様々な問題が見え隠れする今治タオル騒動の今後に注目だ。

(小林洋三)

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