「MCの坂上忍さんはことあるごとに、ホンネの重要性を説いて、出演者が“炎上”を恐れずにトークができる環境作りを重視してきました。この秋から3時間枠に拡大となりましたが、新しく進行役となった伊藤利尋アナが坂上さんの“毒”をうまく中和している印象を受けます。それでも視聴率的にはイマイチで、3%台と最下位になることも多い。にもかかわらず、さらなるテコ入れやリニューアルの話は伝わってきません」(フジテレビ関係者)
9月28日の大幅リニューアルから約2カ月が経った「バイキングMORE」。CM中の私生活に関するオフレコ話を生放送のオンエアでブチまける坂上忍の“暴露トーク”は視聴者にすっかりおなじみとなったが、“パワハラ”ではすまない騒動が浮上した。
11月24日発売の「FLASH」は《高速道路「手抜き工事」“犯人側”で名前を出された社長が「『バイキングMORE』をBPOに訴える!」》と銘打って告発スクープを掲載。ことの発端は「週刊文春」をきっかけに火がついた、高速道路上をまたぐ「緑橋」の施行不良問題。孫請けで施工に関わった業者が「強度を上げるために使う鉄筋が入っていない」と実名告発に踏み切り、現職の国会議員が揉み消しに関与したとの疑惑も浮上していたが…。
「問題となったのは11月10日に放送された『バイキング』。『FLASH』に告発したのは元請け業者と孫請け業者の間に入った一次下受け業者の社長A氏。橋台に鉄筋が入っていなかったことについては謝罪したものの、孫請け業者が行った施工にも問題があった可能性について言及しています。A氏は『バイキング』の取材に対して、真摯に対応したにもかかわらず、その主張についてはほとんど放送されなかったそう。つまり、孫請け業者の告発のシナリオにそって構成されていたため、A氏の会社が手抜き工事を隠蔽したかのような印象を与える放送内容になってしまったというわけです。都合よく編集されるのは、テレビ業界でもよくあることですが、A氏が憤慨しているのは“犯人側”として会社の実名を出されたこと。誤解を招きかねない一方的な放送内容によって、仕事が打ち切りになるなど実害をこうむっており、A氏は取材スタッフに苦情を伝えたものの、返事はいっさいなく、代理人の弁護士はBPO(放送倫理・番組向上機構)への申し立てを検討しているようです」(テレビ誌ライター)
責任を一方的に押し付けられる形で社名を全国ネットで流されてはA氏もたまったものではないだろう。低視聴率に「BPO審議入り」と、泣きっ面に蜂といった様相の「バイキング」だが、それでも番組関係者は「まったく痛くないでしょう」としてこう続ける。
「フジの番組では『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』が専門的知識を持つエキスパートが足りずにエキストラで補填していた疑惑が浮上し、BPOで審議入りしていますが、番組自体は放送を続行しています。BPOに打ち切りを要請するなどの権限はありませんからね。また『バイキング』では何度も伊藤アナが番組内で謝罪・訂正を行っていますが、もっとも批判を集めたのが、10月の放送で、解説委員の平井文夫氏が日本学術会議の任命問題について『(メンバーは)年間250万円の年金をもらえる』と語ったもの。まったく根拠のないデマとして大問題となりました。それ以来、平井氏は番組にいっさい出ていません。トカゲのしっぽ切り…ではありませんが、こうした問題発言を行ったコメンテーターは容赦なく切り捨ててきた過去があります。おそらく今回、問題となった手抜き工事の実名報道についても、取材を担当したスタッフに責任を押しつけて逃げ切りをはかるのではないでしょうか。じつはこうした弱者切り捨てとも言える姿勢には局内からも非難の声が殺到しているんです」
ホンネトークも結構だが、抗議の声にも耳を傾けるべきかもしれない。
(倉田はじめ)