10月7日夜、東日本大震災以来となる最大震度5強の地震に襲われた首都圏。鉄道各線は翌8日になっても麻痺したままで、一部の駅では入場規制も。普段なら1時間の通勤時間が3時間以上かかるなど相変わらず地震への脆さを露呈することになった。
なかでも日暮里・舎人ライナーは一部車両が脱線。朝は首都圏でも特に混雑することで知られる路線だが、10日まで4日間運転見合わせとなり、代行バスが運行されるも乗り場は大行列。大混乱を招くことになってしまった。
「地震が原因なので仕方ないで済ませがちですが、荒川区と足立区を結ぶ舎人ライナー沿線は、湾岸エリアや川沿いの地域に次いで地盤が弱いとのデータも出ています。つまり、地震に弱い路線だったわけです」(鉄道ジャーナリスト)
だが、これは同路線に限った話ではない。実は、首都圏を走る鉄道路線の多くは地盤に問題を抱える地域を走っており、大地震が起きた際に何かしらの影響を受けるリスクが高いという。
そんな中、地質調査などを行う地盤ホールディングスは2018年に『いい地盤の日アワード』を開催。そこで西武池袋線を「首都圏の鉄道路線のなかでも最も地盤がいい路線」と表彰している。
これは地形区分図や地質図、土壌図、地盤の液状化に地震の揺れやすさ、浸水、活断層の情報など40項目以上が公開されている同社の事業者むけ有料サービス『地盤安心マップPRO』の情報をもとに診断。東京は都心エリアや東部、神奈川県も横浜・川崎といった地域は地盤的に弱いエリアが多いため、結果的に首都圏を走る路線のほとんどは地震に弱いということになってしまうようだ。
「その点、西武池袋線は沿線の大半が武蔵野台地を通っており、地盤がしっかりしています。そこがデータでも示され、評価されたのでしょう」(鉄道ジャーナリスト)
西武池袋線の沿線はリクルート住まいカンパニーが発表した「SUUMO住みたい街ランキング2021 関東版」の上位には1つも入っていないが、地震に強いというのは住むうえで大きな要素。不動産価格も首都圏の中ではそれほど高くないため、案外狙い目かも。