日本の「コロナ愚策」を元内閣官房参与が完全論破(1)政策は「単なる思いつき」

 いったい何度目の緊急事態宣言なんだ! 7月30日に「今回の宣言が最後となる覚悟」と発した舌の根も乾かぬうちに、新たに8県を追加し、今や全国21都道府県、実に人口の75%が行動制限を受けるお先真っ暗の有様だ。国難に臨んでも寝ぼけ眼で人流抑制策を繰り返すしか能のない「昏睡内閣」を、元内閣官房参与で、気鋭の京大教授がぶった切る!

「最悪中の最悪のコロナ対策だ」

 まるでバカのひとつ覚えのように緊急事態宣言を繰り返すだけの菅義偉総理(72)のコロナ対策を断罪するのは、京都大学大学院・藤井聡教授だ。12〜18年には防災・減災ニューディール政策担当の内閣官房参与を務め、安倍内閣に提言してきた藤井教授が、現内閣を厳しく評価する理由を列挙する(以下、「」内は藤井教授)。

「第1に、感染拡大状況は厳しい自粛政策を取っていない台湾、韓国、中国など東アジア諸国レベルなのに、何十倍、何百倍という死者を出している欧米とほぼ同水準の自粛対策を取っているからです。

 第2に、それだけの自粛をさせていれば、経済は激しく冷え込むわけですが、それだけの自粛をさせている欧米では徹底的な補償や消費減税が行われているのに、日本は、圧倒的に小さな経済対策しか取っておらず、最悪の経済被害を受けています。

 第3に、実証的に確認すれば緊急事態宣言の有効性は、これまで全く見られていないことは明白なのに、そういう検証もせず、ただ、だらだらと宣言を繰り返しています」

 菅内閣の人流抑制に頼る感染対策をことごとく完全否定するのだ。

「つまり、諸外国においては一定程度存在している政策合理性が、菅内閣においては一切なく、単なる思いつきや空気や気分だけで政策判断を繰り返しています。G7は言うに及ばず、G20の中でも、文字通り最低最悪の水準にあると思います」

 同じことを何度も繰り返すだけで新鮮味に欠き、効果も薄れる一方の緊急事態宣言に政府が固執するのはなぜなのか。

「こうした菅内閣の方針は、分科会・尾身茂会長(72)の提案に大きく影響されて進められています。彼らが国民全体の健康、経済、社会被害のトータルとしての最小化を目指さず、経済被害という副作用に対する対処についてもおざなりにしながら、『自粛で抑制する』という戦略を取り続けている。このことが、述べたような最低最悪の菅内閣のコロナ対策を導いています。その意味でも尾身氏の責任は甚大だと考えます」

 これまでコロナ感染者は病院やホテルなどで隔離治療を行っていたが、8月5日に政府が「自宅療養」の方針を打ち出したことにより、病院に搬送される前に自宅で死亡する痛ましい事故が全国で急増している。にもかかわらず〝野戦病院〟を設置するなど、本気でコロナに対峙する政府の姿勢は見えてこない。

「医療対策は、諸外国では昨年3月、4月の段階で体育館やテントを張って徹底的に対応力を増強させました。しかし菅内閣はそれを一向にやりません。その意味においてもやはり、菅内閣は先進諸国中、最低最悪の対策と言えるでしょう」

 こうした非常事態で何より心もとないのが、総理の本気の姿勢が伝わってこないことだ。8月6日の広島・平和式典では原稿を読み飛ばし、8月18日の記者会見でも「いずれにしろ感染拡大を最優先にしながら考えていきたい」など、心ここにあらずの原稿棒読みばかりが目につく。それでも、自身のコロナ対策を問われると、「自己評価するのは僭越だ」と開き直る姿を見て、藤井氏はもはや宰相としての資質に疑問を投げかける。

「そもそも菅氏という政治家は、国民や国家のための政策を展開すべきだという思いも使命感も意志も何もない方だとしか見えません。そんな政治家に人に伝わる発信力など期待できるはずがありません」

 9月末で任期を迎える総裁選の前に解散に踏み切る可能性を残し、衆院選の勝利で総裁続投という青写真を描いて緊急事態宣言の期限を12日までと決めた菅総理。国民そっちのけで自身の保身を図る無責任男に明日はない。

*「週刊アサヒ芸能」9月9日号より。(2)に続く

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