長野・札幌で聞いてみた「選手村マンション」の住み心地

 五輪開催中、選手や関係者たちが過ごす選手村。東京湾が一望できる晴海ふ頭のベイエリアに設けられた東京五輪の選手村は、21棟の居住棟から構成されており、大会終了後はマンションとしての提供が決まっている。

 分譲予定の4145戸は、五輪が今夏開催になったことで当初の23年春から引き渡し時期が1年延期。それに伴う補償を求める一部の入居予定者とのトラブルも起きているが、都心から近いこともあって売れ行きは好調だ。

 実は、過去に日本で開催された72年札幌冬季五輪、98年長野冬季五輪も選手村は大会後にマンションとして転用。どちらも地元では人気の物件となっている。

 長野市の中心部から車で15分ほどの場所に位置する長野五輪の選手村は、駅からも近く新興住宅地として発展。分譲住宅や市営住宅をはじめ、市や県職員向け住宅、企業の社宅など1000戸以上あり、現在は「今井ニュータウン」の名で呼ばれている。

「外観も室内もデザイナーズマンションみたいに非常にオシャレ。室内もかなり広々としています。すでに築20数年経っていますけど、全然古さは感じないですね」

 そう語るのは、家族で入居している40代男性。近隣には大型の商業施設もあり、生活の不便さはあまり感じないという。

 一方、札幌市南区の真駒内地区には札幌冬季五輪の選手村が「五輪団地」の名称で住宅として提供されている。当時の札幌では珍しかった出窓が設けられたマンションもあり、半世紀前の建物とは思えないほどだ。

「室内がリフォームされていますし、住み心地はいいですよ。築年数が経っている分、広さの割に家賃も安いですし(笑)。大きな公園や病院、学校、商業施設は徒歩圏内。札幌の中心部まで地下鉄で約15分ですし、始発駅なので朝も座って通勤できるので楽です」(真駒内の五輪団地に住む30代男性)

 選手村は五輪後の住宅転用が前提になっているとはいえ、そもそも各国の選手たちが満足できるように国の威信をかけて建てられたもの。そう考えると、住み心地がいいのは当然のことなのかもしれない。

*写真は札幌「五輪団地」

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