治外法権すぎる「選手村ルポ」(1)外出、飲酒、ガールハント…ルール違反の光景

 東京ドーム9つ分の広さを誇る巨大な敷地に建てられた「選手村」。世界中からアスリートが集まる場所はいったいどうなっているのか。実際に現地に足を運んでみると、その実態が浮き彫りに─。

「ここ数日で外国人のお客さんが増えたのよ。近くに選手村があるでしょ。ここは近いから来ているんだと思うけど‥‥。こんな時期だけど、うちの店は24時間営業でお酒も出しているの。先週の夜、五輪関係者の外国人6人組が生ビール60杯飲んでいったんだよ。まるで水みたいにガバガバ飲んでいて驚いたね。私は高齢でまだワクチン打ってないから怖いのよね。何がバブル方式なのか。あんなの守られてないよ」

 こう話すのは、選手村から徒歩圏にある築地の寿司屋の従業員。

 東京では4度目となる緊急事態宣言が発令中だが、7月末には新規感染者が3000人を超えるなど、「第5波」は本格化しつつある。コロナ感染拡大防止のため、選手や関係者の行動ルールを定めた「公式プレイブック」には、〈人との接触を最小限に抑えてください〉と記載され、「1人での食事」を呼びかけている。

 ルール違反は集団飲酒にとどまらない。

 日中の暑さが引き、影が差し始める午後6時過ぎ、選手村からほど近いコンビニエンスストアを訪れると、店の前で日本人女性に声をかける外国人男性を目撃した。見れば選手村の警備員と同じ制服を着ているではないか。

「こんにちは。この後、何しているの」

 声をかけられた20代前半と思しき女性は軽く受け流して、そのまま店内に入っていく。それでも外国人警備員は店内まで追いかけ、誘いの言葉をかけ続ける。相手にせず、女性は買い物を終えて去っていったが、モラルなき男性に選手村の警備が務まるのだろうか。

 プレイブックにはこうある。

〈ハグや握手などの物理的な接触を避けてください〉

 当然、男女間の交遊も制限され、選手村に置かれる予定だった約16万個のゴム製品は帰国時に配布されることとなった。

 先ほどのコンビニのスキン売り場を確認すると、すでに数個売れた痕跡があった。

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