「成功者の証」タワマンに”将来負け組”の可能性!?

 今や大都市圏だけでなく地方都市でも建設ラッシュが続いているタワーマンション。新築はもちろんのこと、中古価格も高騰の一途で、若いファミリー層の間で高い需要がある。ところが、「成功のシンボル」とも称されたタワマンについて、そのデメリットがメディアで報じられるようになってきた。業界誌ライターが言う。

「タワーマンションが抱えるいちばん大きな問題点が修繕積立金不足です。マンションの大規模修繕はおよそ15年に1回行われるので、タワマンの大規模修繕が本格化するのはこれから。ところが高層マンションの場合、高層階まで足場を組むわけにもいきませんから、外壁工事をするのにも低層マンションよりも当然費用も時間もかかります。また、分譲時にお買い得感を出すために修繕積立金を安く抑えて売り出すケースもあり、修繕費が足らなくなることも予想されます。プール金が足りなければ、積立金の値上げや、修繕積立一時金の臨時徴収で対応するのは従来型マンションでも同じですが、なにぶんにもタワマンは住んでいる戸数が多い。住民間の合意形成をするのが大変で、なかなか工事に入れないという事態も予想されるのです」

 タワマンの先駆けとなったのが、埼玉県川口市にある55階建てマンションだ。総戸数650戸で、1998年に竣工。2015年に1回目の大規模修繕工事を開始し、完了までに2年の歳月と総費用12億円を要した。ただ、管理組合に修繕委員会が発足したのは’07年。13年にコンサルタント会社を決め、14年に施工業者を決め…と段取りを踏み、修繕完了までに丸10年かかったことになる。

 ただし、これは管理組合がしっかり機能した成功例といえるのだそうだ。

「都心エリアの場合、投資目的で物件を所有している人の割合が多く、なかには海外に住む外国人がオーナーというケースも珍しくありません。その場合、連絡をとるのも一苦労ですし、とれたとしても全員から費用負担の同意をとりつけることは容易ではない。今後、大規模修繕の時期を迎えるタワマンでは、工事をしたくても合意が得られずに着手できないケースも出てくるのではないでしょうか」(前出・ライター)

 10~20年後、バブル期に建てられて半廃墟化しているリゾートマンションのようにならなければいいが……。

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