「階層カースト」「電源喪失」が致命的で…憧れが一転「タワマン離れ」が始まった!

 高層階からの圧倒的な眺望やステータス感もあって人気のタワーマンション。そこに住む人は成功者の象徴のように思われているが、住民の間には悲喜こもごもの悩みもあるようだ。

 ミュージカル俳優の山崎育三郎が「TOKIOカケル」(フジテレビ系)に出演した際、「タワーマンションには二度と住まない」と、住んでいた当時の悲惨な経験を語って話題になった。

 23歳から兄とふたり暮らしだった山崎が、「1回住んでみたかったタワーマンション」の34階で一人暮らしを始めたのは、ミュージカルの仕事で生計が立てられるようになったころだった。

 ところが、ある日地震が発生。外出予定で1階に降りていた山崎は、忘れ物を取りに部屋まで戻ろうとしたが、地震の影響でエレベーターが停止していた。やむなく階段で34階の部屋を目指したのだが、途中、「18階辺りで、足がプルプルしちゃった」という。

 戻るに戻れずなんとか「最後はゴール!みたいに34階にたどり着くんですけど」、再び、荷物を手に階段を降りていく途中、足がプルプル震え続け、「もう、二度とタワーマンションはやめて…あれ地獄ですよ!」と振り返り、スタジオ中を笑いに包んだ。

 低層のマンションと違い、高層であるタワマンの場合、地震などでエレベーターが停止すれば、当然、この手のトラブルが発生してしまう。2019年、台風19号の大雨の際には、神奈川・武蔵小杉のタワーマンションの地下に雨水が浸水して配電盤が故障、停電でエレベーターがストップしたほか、屋上に組み上げるポンプが使えずトイレが使えないという事態も起きている。

 また、こうした構造上の問題のほかにもタワマンならではの悩みがあるという。その代表的な例が「階数カースト」だ。

「タワマンは基本的に上層階のフロアのほうが価格が高いので、高層階用エレベーター利用者はそれだけで優越感に浸るようです。同じエレベーターでもボタンを押す際、乗り合わせた人が自分より上の階か下の階かを気にする人もいます。そういう人たちは、フロアの高さがそのまま『ランクの高さ』なので、下のフロアだと、どうしても見下されているという感覚を持ってしまうようですね。結果、住民同士の間でヘンな上下意識が生まれ、それに嫌気がさして引っ越すケースも少なくありません」(都内のタワマン販売を手がける不動産会社の営業スタッフ)

 では低層階に住む人はなぜタワマンを選んだのか、という疑問も湧くが、

「タワマンは駅近が多く、共有スペースが充実している物件が多いのです。景観より価格と利便性を重視して低層階を選ばれるオーナーさんもいます。また、低層階には、もしもの場合に徒歩で往復できるという安心感があります」(前出・営業スタッフ)

 タワマンに憧れる人も多いだろうが、実際に住む際には、こうしたメリットとデメリットを知っておくことが重要のようだ。

(灯倫太郎)

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