全体の2割が築40年以上!知らないと痛い目を見る「マンション健康寿命」問題

 都心のタワマンを中心に、分譲マンションの建設ラッシュが続いているが、その一方、築40年を超える物件が日本のマンション全体の2割近くある。国土交通省によると、23年末時点で築40年以上のマンションは136.9万戸。33年末にはほぼ倍の274.3万戸、43年末には3.4倍増の463.8万戸になると推計している。

 そこで気になるのは建物の寿命だが、耐用年数は建物の材質や管理状態によっても異なる。

「鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、法定耐用年数はいずれも47年ですが、実際には70年が寿命の目安とされています。ただし、なかには100年以上居住可能な物件もあります」(大手デベロッパー社員)

 これらに対し、鉄骨造(S造)は使用する鋼材の厚みにもよるが、法定耐用年数が最も長いもので34年。建物の寿命は50~60年とやや短くなっている。

「どの材質でも、海沿いのマンションは塩害や強い紫外線の影響で外壁などが傷むのが早い傾向にあります」(同)

 建物は築年数の経過とともに老朽化が進む。ただ、定期的にメンテナンスをすれば、寿命は伸ばせる。ただ、問題はその修繕費用だ。

「マンションの劣化は外壁剥離、鉄筋の腐食、漏水、天井や壁の亀裂など、目に見える形で表れます。ですが昔のマンションは修繕費積立金の徴収額が低かったり、そもそも徴収してなかったりで、工事ができないというケースが少なくありません。かといって、所有者は高齢世帯が多いため、積立金の増額も難しい。結局、劣化を放置したままになり、どんどん老朽化が加速してしまいます」(同)

 資産価値があるうちに売却して、住み替えを検討するのも一つの手だろう。夫婦2人で暮らすのにちょうどいい広さの中古物件を購入して、終の棲家とする人も増えている。

 住む人とともにマンションも確実に老いる。中古物件の購入を考えている人は、築年数ばかりでなく、修繕積立金の状況や長期修繕計画などもしっかり確認しておきたいところだ。

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