現在は大都市圏のみならず地方都市でも続々と誕生しているタワーマンション。住宅価格の高騰が続く中、新築マンションの人気は変わらないが懸念されている問題もある。そのひとつが、“タワマンの限界集落化”だ。
限界集落は人口の半数以上が65歳以上の高齢者を占める地域を指すが、これは過疎化が進む地方に限った話ではない。東京でも一部の都営住宅が限界集落化している。高度成長期に建てられた古い建物だから当然と見ることもできるが、タワマン自体も80年代から建設が始まり、97年の建築基準法の改正以降は爆発的に建物の数が増えた。そのため、すでに築20年以上の物件も少なくない。
「20年に公表された『新宿区タワーマンション実態調査報告書』では、3割の世帯主が65歳以上というマンションが50%もあったとしています。一般的に築年数と住民の高齢化は比例関係にあるため、今後はこれらの割合もさらに増えていると思われます」(不動産情報誌編集者)
しかも、首都圏や関西圏などの大都市圏では中古のタワマンはシニア層にも人気。終の住処として入居するケースも珍しくない。
「ほとんどは公共交通機関の発達した場所にありますし、近隣には病院や商業施設も多いので車がなくても困りません。ただ、30~50代のファミリー層が多く住む築浅のタワマンでも住民の高齢化は確実に進みます。豊洲などのベイエリアや武蔵小杉のようにタワマンが乱立するエリアも20年後には限界集落化の波が押し寄せているはずです」(同)
思えば団地やニュータウンも“近未来の新しい住宅”として持てはやされ、子育て世代の若いファミリー層がこぞって移り住んだが、今はどこも年配者ばかり。タワマンも同じ運命を辿ることは、もはや避けられないのかもしれない。