世界のコロナ「11変異株」危険度ランキング(2)中和抗体を弱めるラムダ株

 現在、WHO(世界保健機関)が認めた新型コロナウイルスの変異株は11種類(下記参照)。当初は「イギリス株」「南アフリカ株」などと国名が使用されてきたが、5月末からは地域への差別を助長しないことなどを理由に、ギリシア文字による新名称が使用されている。

 日本国内での感染は先に挙げたアルファ株、デルタ株はもちろんのこと、ベータ株、ガンマ株、イプシロン株、シータ株などもすでに検疫などで検出されている。

 最近では、6月24日に三重県で県内初のインド由来の変異株の感染例として発表された、カッパ株が注目を浴びた。

「これはインド由来のデルタ株がさらに変異したもので、『デルタプラス』などとも呼ばれています。感染力はデルタ株よりさらに強いとも言われますが、特性については、まだ詳しいデータが出てきていません」(医療ガバナンス研究所・上昌広理事長)

 それに先立つ6月14日、WHOは「注意すべき変異株」として、新たにラムダ株を加えた。

「ラムダ株はWHOが11番目に指定した変異株です。4月以降、ペルー国内で新規感染者の8割を占めている。しかも、ウイルスが細胞に取り付くことを阻止する中和抗体を弱める、などの特性が報告されています。発症予防有効率が高いファイザー社製のワクチンでも、従来株より効果が薄れる可能性があります。南米を中心にアメリカ、ドイツ、イスラエルなど渡航者により世界29カ国に広がっている。日本の空港では今のところ検出されていませんが、いずれ国内にも流入する可能性は高い」(社会部記者)

 次々と進化を続ける新型コロナ変異株。では、最も注意を払うべき変異株はどれなのか。

「ウイルスの感染拡大は人種や地域など環境などによって変動するもので、総合的な判断が必要です。つまり、ある地域で急増したからといって、必ずしも他の国で流行する、とは限らない。とはいえ、デルタ株は欧州など先進国でも増えているので、今後、日本でも増えてくることが予想されます。現状では、デルタ株こそが最も注意すべき変異株となります」(上氏)

 危険なデルタ株の兆候はすでに国内でも確認されている。

「国立感染症研究所の発表によれば、7月中旬には新規感染者のうち、より感染力の強いデルタ株がアルファ株感染者を抜く勢いで、その結果、東京都の新規感染者数は7月末~8月半ばまでに1000人を超えることが試算されています」(社会部記者)

 東京五輪の開催期間は7月23日~8月8日。まるで新型コロナはオリンピックを狙い撃ちしているかのようではないか‥‥。

<その他の危ない変異株7>

変異株名:発祥国・年月及び日本国内感染状況

イプシロン株:米カリフォルニアで3月に流行、国内検疫でも26例を確認

ゼータ株:ブラジルで3月に流行

イータ株:複数国で3月に流行

シータ株:フィリピンで3月に流行、国内でも7例を確認

イオタ株:米ニューヨークで3月に流行

カッパ株:インド由来、別名デルタプラス、国内で27例を確認も急増中

ラムダ株:ペルーでは4月以降の感染者の8割を占め、南米中心に29カ国で確認

出典:WHO *国内検疫は6月21日時点

<危険変異株トップ4>

変異株名:発祥国・年月/変異/感染力(対従来株)/ワクチン効果

【1】デルタ株:インド・20年10月/L452R/1.95倍*/効果を弱める可能性、中和抗体も弱める可能性

【2】ガンマ株:ブラジル・20年11月/N501Y、E484K/1.4~2.2倍/効果を弱める可能性

【3】ベータ株:南アフリカ・20年5月/N501Y、E484K/1.5倍/効果を弱める可能性

【4】アルファ株:イギリス・20年9月/N501Y/1.32倍/ 影響は認められず

出典:厚生労働省新型コロナウイルス感染対策アドバイザリーボードより作成 *京大・西浦博教授分析

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