新型コロナウイルス感染拡大が続く大阪で、3月31日、吉村洋文知事が国に対し「まん延防止等重点措置」の適用を要請。早ければ5日には適用されることになった。それにより今後、時短要請に従わない飲食店に対して「知事命令」で、過料を科すことが可能になった。
大阪では、ここ1週間、感染者数が300人前後を推移。リバウンド要因一つとみられる変異株の流入が問題視されていた。
厚生労働省担当記者が語る。
「ウイルスというのは、一定の頻度でランダムに変異するものですが、その中には感染力や増殖能力が増して重症化率や死亡率を上げるもの、また、ワクチンの効果を下げたり、一度感染した人に再感染させるものなどがあります。WHOでは、それらの社会に大きな影響を及ぼしかねない変異ウイルスを『懸念される変異株』と呼んでいますが、現在、日本で確認されている変異株は感染力の高い英国型のほか、ワクチンの効果を低減させる南アフリカ、ブラジル型の3種類。3つとも、海外から持ち込まれた可能性が高いとされますが、英国株が英国内で独自進化を遂げたように、日本でも同じようにウイルスが進化する可能性もあり、そうなれば、日本発の新たな変異株が誕生しても不思議ではない。そこが最も厄介な点なんです」
変異株は感染力が、いわゆる既存株よりも高いため、海外では子供への感染例も多く、重症化するリスクも高いといわれる。
「WHOによれば、南ア株の場合で感染力が50%程度増加、死亡率も20%程度増加するという報告があり、ブラジル株については確実なデータはないものの、感染力が2.5倍になるとの報告もあります。しかも、一度入ってきたら最後、流行の主役が従来株から変異株に転じてしまう国が多く、実際、昨年9月に変異株が確認された英国では、現在ではすでに9割以上を占めていますし、南アでもすでに新規感染のほぼ100%が南ア株に置き換わっています。残る、ブラジルも4月までに75%程度が置き換わるだろうといわれています」(同記者)
それが現実だとすると、現状の飲食店を中心にしたウイルス防止策や、高齢者優先のワクチン接種のあり方など、抜本的な見直しが必要になることは必至。
「英米メディアが伝えたところによれば、インドではさらに1つのウイルスに2つの変異がみられる『二重変異株』が検出された、との報道もあります。これは、同国保健省が西部マハラシュトラ州から持ち込まれたサンプルを解析したところ、1つのウイルス内で2つの変異がみられたというもので、具体的には現在のワクチンでできる免疫が効きにくくなる部位の変異と、伝播力を強める部位が変異する、という二重変異により、さらに感染力が増加するのだとか。つまり、片方をたたいても片方には効き目がない。そのうちにまた新たな変異が始まってしまい、永遠にいたちごっこが続いてしまう、というわけです」(同記者)
日本でも、医療従事者を中心にようやくワクチン接種がスタートした。だが、ワクチンの効果で従来型全般には対応できても、免疫をすり抜ける変異株が広がれば、第5波、第6波が来る可能性は否定できない。手洗いと3密を避けることが唯一の予防法とされる現状、はたして元の生活に戻るのはいつになるのか……。
(灯倫太郎)