2023年ニッポンを襲う危機(3)中国、コロナ感染爆発で「強毒性変異株」上陸の地獄絵

 サッカーW杯カタール大会では観客のほとんどがマスクなしで試合を観戦し、パンデミックの終焉がすぐそこまでやって来ていることを強く感じさせた。

 また、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は昨年12月14日に行った記者会見の中で「2023年中にコロナが世界の緊急事態ではなくなることを期待する」と述べ、脱コロナの機運が高まりを見せていた矢先に新たな火種がくすぶり始めた。その発生源は中国だ。

「中国政府は抗議デモの連鎖を受けて、ゼロコロナ政策を放棄。ただ、その後の対応準備が不十分だったことや、無症状者には出勤を求める地方政府もあり、あまりの極端な政策転換のため世界最大級の爆発的な感染拡大が起きています」(中国事情に詳しいジャーナリスト)

 中国政府がゼロコロナをやめて以降、北京の葬儀場は毎日100台を超える車が荼毘待ちで渋滞。また、香港の研究チームによると、今後中国では人口の60%(8.4億人)がコロナに感染するとの予測を示していて、今後200万人以上の死者が出る可能性があるという。さらに怖いのは、こうした悲惨な事態が決して対岸の火事ではないということだ。

「中国の影響はすでに日本にも及んでいます。それは日本の風邪薬や解熱剤が爆買いされているだけではありません。多くの人に感染すれば、それだけウイルスが変異する可能性は高まります。すでに強力な変異株が誕生してしまっている可能性も十分あるでしょう」(医療ジャーナリスト)
 
 中国での変異株発生に関してはWHOも「新型コロナウイルスが情報確認を経ないまま拡散する場合、新たな変異株の出現をあおりかねないというのが一部科学者の見解」と懸念を示している。

「中国政府は感染者数の発表を取りやめましたが、中国政府の会議録とされるネットに出回った資料によると、12月1日から20日までに発症した感染者は中国全土で2億4800万人を超えると見られています。しかも、中国は1月から入国時の強制隔離を撤廃し、今後は出国制限も緩和する見通しとなっています。日本政府もインバウンドの取り込みに躍起になっていますから、訪日旅行の再開とともに毒性の強い変異株も上陸、などというシナリオも想定されます」(同)

 新型コロナのパンデミックが始まり3年が経とうとしているが、安心して暮らせる状況はまだ遠い話なのかもしれない。

(小林洋三)

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