「スーパー変異」が始まる…第6波の不都合な真実(4)永久に終息しないという恐怖

C そもそも、仮にオミクロン株の毒性が弱かったとしても、デルタ株の4倍を超える強烈な感染力を持つわけですから、今後、感染者数が爆発的に増えていくことは確実です。したがって、例えば感染者数がデルタ株の4倍に増えた場合、毒性がデルタ株の4分の1だったとしても、第5波と同等の医療逼迫を招き、同等の死者も出るという計算になってくるのです。

A しかも近い将来、第6波のオミクロンパニックは悪夢の始まりにすぎません。

─どういうことですか。

A オミクロン株は猛烈な感染力を有するがゆえに、今後、世界中でデルタ株から置き換わっていきます。そして世界的な感染爆発が進行していく過程で、感染力と毒性の両方が途方もなく強く、かつ液性免疫も細胞性免疫もすり抜けてしまう「スーパー変異株」が出現してくる懸念があるからです。

B 私も同じ懸念を強く持っています。その場合、人類の大量死を招くような恐怖のスーパー変異株は、やはり免疫不全患者の体内で出現すると考えられるのです。しかもベースとなるパンデミック(世界的な感染爆発)の規模が大きければ大きいほど、スーパー変異株が免疫不全患者の体内で出現する危険性もそれだけ大きくなると考えられます。

─しかし、ウイルスは宿主を殺さない生存戦略を選ぶ、という説もあります。宿主が死ねば自分も死んでしまいますから。

A 感染力は強くなっても強毒化することはまずなく、むしろ弱毒化していく、という説ですね。しかしこの説が本当に正しいとすれば、デルタ株の自滅は起きなかったはずです。自滅はウイルスの自殺ですから。先ほど指摘したように、ウイルスには意思などありません。自滅の変異にせよ、宿主を殺す変異にせよ、あらゆる変異は偶然に支配された突然変異として起こります。

D 実は与党や政府がデルタ株を巡る自滅の事実をひた隠しにしてきたもうひとつの理由は、この事実を公に認めてしまえば「新型コロナウイルスはやがて弱毒化していき、ただの風邪のような存在になって終息する」という、希望的観測に基づくシナリオの矛盾が白日の下に晒されてしまうからなのです。

C もっとも、ウイルスの変異が偶然の産物である以上、ある日突然、オミクロン株が自滅株に変異する可能性も否定できません。しかしその場合でも、世界のあらゆる国と地域で同時に自滅変異が起きなければ意味がありません。ひとつの国や地域で自滅株が出現したとしても、別の国や地域から自滅していないオミクロン株か、その時点で最も感染力の強い変異株が侵入してきて、再び感染拡大が起きてしまうからです。

B しかもオミクロン株が地球上で一斉に自滅する確率に対して、ひとつの国や地域で、オミクロン株から強い感染力と毒性を併せ持つ「スーパー変異株」が出現する確率は当然ながら、はるかに高いのです。そしてオミクロン株を駆逐する変異株が弱毒性であったとしても、恐怖のスーパー変異株が出現する脅威は、その後もずっと続くのです。

A つまり、2022年はオミクロンパニックで始まる「地獄のスーパー変異株元年」であり、例えば地球上でオミクロン株が一斉に自滅するという奇跡でも起きない限り、新型コロナウイルス禍は永久に終息しないということなのです。

A=ウイルス学の専門家/B=感染症の専門医/C=公衆衛生学の専門家/D=政府関係者

*「週刊アサヒ芸能」1月20日号より

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