ヤマト運輸の「配達順通知サービス」はクレーム誘発の悪手か?

 5月9日、ヤマト運輸が、電子商取引(EC)で購入された商品を配達する際、受取人に対し配達の順番を知らせる新サービス導入を検討していることが産経新聞により報じられたが、《さすがにやりすぎでは?》といった声が相次いでいる。

「同紙によると、今年度中に導入されるという新サービスは、ヤマトのEC商品向け配達サービス『EAZY』を利用したもので、メールやLINEにより、配達するまで“あと何番目”といった形で通知されるといいます。現在は受け取りの大まかな時間帯しか示されていませんが、順番を知らせることで顧客の利便性を向上させたい考えがあると見られています」(経済誌ライター)

 より細かく荷物を受け取る時間帯の目安が分かる便利なサービスと思えるが、ネット上では《そこまで客に通知するなんて必要あるかな。ドライバーを追い込むようなシステムになるのでは》《「あと何番目と表示されから届くまでが遅い」ってクレームがめちゃくちゃ来るだろう》《結局、荷物が届きそうな時間帯に不在の客は減らないし、かわりにクレームをつける客が大量発生するだけ》《ドライバーの労働環境が問題になっているのに、これは過剰なサービスになりそう》など批判的な意見が多く見られる。

「『お客様の配達まであと◯件』といった通知がされると、“あと◯件と表示されたが何分で来る?”“あと◯件と表示されてから何分待たされたと思っているんだ”といった問い合わせやクレームが増える可能性があり、ドライバーに心理的な圧力が加わる恐れは確かに生じるかもしれません。それが原因で無茶な運転や事故が起こったら大変ですからね。ヤマトは新型コロナウイルスの巣ごもり需要によるEC荷物の取扱量が増加したことで、前年同期比で業績は上向きの状況で、それまで不振が続いていただけに、このタイミングで顧客を一気に取り戻したいという思いがあるかもしれません。顧客第一の姿勢もありがたいことですが、トラブルによる落とし穴にはまり込まないことを祈るばかりです」(経済ジャーナリスト)

 従業員への配慮も重要になりそうだ。

(小林洋三)

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