占い師も詐欺師も使う? 相手の「過去」を当てる3つの手法とは

 占星術、四柱推命、手相、タロットなど、令和のいま再び占いブームが到来している。ブームのキッカケは、昨年4月から放送されている「突然ですが占ってもいいですか?」(フジテレビ系)だ。

 元々はスゴ腕占い師が街行く人に突然占いをもちかける“突撃番組”だった。しかし、コロナの影響でスタジオ内で有名人を占う企画へと転換し、人気に火がついた。

 同番組が一般的な占い番組と一線を画している点は、未来ではなく主に「過去」を占うところだ。出演している占い師は、過去に初対面の一般人の出身大学を当てるという神業も見せたという。

 番組スタッフは「台本は一切ない」とコメントしているが、ネット上の反応は《出身大学を当てるなんてありえない》《絶対に嘘、ヤラセに決まっている》《BPOに注意勧告を受けるのは時間の問題だろう》などと手厳しい意見が目立つ。

 メディア評論家は、占い番組の制作裏側についてこう解説する。

「一般論として、芸能人・著名人を占う場合、過去のインタビューやSNSで発信してるネタを掘り起こせば、簡単に当てることができます。そのため、占い番組はそれほどの労力もなく作ることが可能です。また、テレビはあくまでもエンターテインメントですから、ある程度の〝仕込み〟が行われるのは当たり前の話。芸能人だけでなく、一般人を占う際にも、なんらかの演出が施されている可能性は十分あるでしょう。しかし、かつてのオウム真理教の事件、また近年はヤラセやエセ科学を嫌う視聴者が増えたこともあり、テレビはスピリチュアル系のテーマの取り扱いに注意を払うようになりました。日本民間放送連盟の放送基準(第8章表現上の配慮54条)でも、占いなどは断定したり視聴者に無理に信じさせたりしないように注意すると定めています」

 もっとも、事前リサーチや仕込みなどがなくとも、テクニックさえあれば初対面の人物の過去を当てることも不可能ではない。スピリチュアル商法に詳しいジャーナリストは、よく使われる手法は大きく3つあるという。

 1つ目はコールド・リーディングだ。

「コールド・リーディングとは、表情や仕草を観察したり、会話を交わしたりすることで、相手の情報を読み取って言い当て、『私はあなたのことをよく知っている』と信じ込ませる手法。たとえば、会話の話題がアチコチ飛びやすく、相手の事情も考えずに早口で一方的に喋ってしまう人がいたとします。その人に対して自称占い師が、『あなたはせっかちな性格で、過去に人間関係で失敗したことがありますね』と言えば、当たる可能性も高いというわけです」

 2つ目はバーナム効果の働きを利用したテクニック。

「バーナム効果とは、誰にでも該当するような一般的なことを言われただけにもかかわらず、自分だけに該当することと錯覚してしまう心理。たとえば、『一見ポジティブに見えるあなたですが、最近悩み事がありますね』などと言われた場合、それを自分だけに該当する悩みだと錯覚してしまうことです。しかし、悩みのない人などいるはずもなく、当たり前のことを言っているにすぎません」

 3つ目は確証バイアスの働きを利用したテクニックだ。

「確証バイアスとは、無意識に偏った情報ばかりを集めてしまう心理。たとえば『昨年は悪いことが重なる年でしたね』と言われれば、無意識に悪かった記憶ばかりを思い浮かべてしまうものです。また、血液型診断では、一般的にA型は几帳面というイメージがありますが、これも確証バイアスの代表例。A型の人の丁寧さばかりに目が向いてしまい、それ以外の特徴を見落としてしまいがちです。そもそも血液型による性格診断は科学的根拠がなく、個々人によって性格は様々です」

 占い世界は玉石混淆だ。当たるも八卦当たらぬも八卦と、肩の力を抜くのが賢明なのかもしれない。

(橋爪けいすけ)

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