日用品×→洗顔料×→チューブの洗顔料○…郵便局が「内容物明記」にこだわる超重要な理由

 郵便局で物を送る際、局員から「中身はなんですか」と聞かれた人は多いだろう。最近、郵便局では「キッチン用品」や「掃除用品」といった大まかなカテゴリではなく、具体的に品名を書くよう、受付で指示される事例が増えている。Xにはこんな報告もあげられ、話題となった。

「一人暮らしの息子に物品の仕送りをしようと思い、日用品やら食品やら化粧品を段ボールに詰めて郵便局に行った」という人が、品名に「日用品、食品」と明記したところ、局員から「具体的に書いてくれないと送れない」と言われたという。

「『キッチン用品』じゃなくて、もっと具体的に。『掃除用品』も雑巾とかモップとか具体的に。『飲料』もジュースか酒か」と聞かれたため、「包丁、ジップロック、サランラップ、クイックルワイパー、掃除シート、洗顔料、日焼け止め、菓子、ジュース」などと書き直した。ところが、さらに「掃除シートはドライですかウェットですか、洗顔料はチューブですか」とまで聞かれたというのだ。

 結局、郵便局からの送付をあきらめて宅配便にしたというが、なぜ、郵便局ではここまで内容物の明記にこだわるのか。

「実は、日本郵便が厳密に内容物を明確にするよう求めるのには理由があるのです。2009年にゆうパックの航空搭載ルートで、『玩具用花火』が適切な申告や梱包なしに空輸されたことで、国土交通省から事業改善命令が下されたのです。航空機による輸送では、引火性や爆発性を持つ物品は法律で厳しく制限されており、一度でも危険物の未申告輸送があると、『航空搭載ルートそのものの停止』という重大なペナルティを科されかねません。こうした背景から、日本郵便は『遠隔地や島しょ部など、航空輸送を要する地域向けの荷物』について、内容をより細かく申告する運用を徹底しているのです」(物流ジャーナリスト)

 ヤマト運輸でも、「宅急便で送れないもの」を公式サイトで公開して、品名欄の具体的記載を義務化している。また、佐川急便も「送り状の『品名』欄には具体的な内容や特別な注意事項を記載してください」としている。

 一方、青森県むつ市のふるさと納税返礼品の中には、地元名産のホタテを加工した「ホタテ水着 上下セット」があるが、受け取った人からは、《きちんと商品名が書かれた状態で送られてきて、めちゃ恥ずかしかった》という思わず笑ってしまう話もある。

 とはいえ、空輸便の場合は安全面を考慮しなければならず、今のところ協力するしかないようだ。

(ケン高田)

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