ばんえい競馬を象徴するのが「鉄ソリ」である。負担重量は480キロから1トンと幅があり、レース展開にも関わってくる。基本となる規定重量は、クラスと時期によって変わる。例えば「オープン」クラスだと、660キロから始まり、シーズン終盤は740キロまで増える。
「2〜3開催に1回のペースで負担が10キロ重くなり、それで障害を越えられない馬も出てきます。重量が上がればパワータイプが有利ですが、年度替わりする春は重量が大幅に軽くなるため、スピードタイプが有利になります」
重量でいえば、牝馬はマイナス20キロ、騎手の体重は全レース77キロに統一され、足りない分は「弁当箱」と呼ばれる箱型の重りをソリに乗せて調整する。
次に重要なのが「馬場状態」だ。ばんえい競馬は水分量で表示され「重馬場」と「軽馬場」に分かれる。サラブレッド競馬とは「重」と「軽」のイメージが反対になるのだが、2%台なら「軽」、0%台は「重」と覚えておくといいだろう。
前走「重馬場」で好走して人気を押し上げた馬でも「軽馬場」で好走できるとは限らないので、馬券を買う前に馬場水分のチェックを忘れずに。
レースに出走するばん馬を確認できる「パドック」も、サラブレッド競馬とは考え方が反対で、
「サラブレッド競馬では落ち着いた精神状態のほうが好ましいとされますが、障害を上がる時に一瞬の力を出さないといけないので、イレ込んでいるくらいテンションが高く、カッカッしているのがちょうどいいんです」
では「馬体重」はどうか。サラブレッドの2倍もある「ばん馬」で、プラス10キロ、マイナス10キロと言われても、ほとんど変わらないようにも思えるが‥‥。
「馬体重は増加しているほうが歓迎されます。特に若い馬の場合は、増えれば増えるほどいい。7、8歳になると体は出来上がってそれほど変動しませんが、馬は大きければそれだけ有利で『大きさは正義』です」
ちなみに昨シーズン末に引退した、ばんえい重賞最多記録25勝を記録し「ばんえい史上最強馬」と呼び声高かったオレノココロは、1200キロ以上の馬体重でド迫力の存在感を発揮していた。
さて、実際に「馬券を購入」するにはどうすればいいのか。馬券の種類は中央競馬と同じ8種類。帯広競馬場や場外発売所以外に、インターネットで購入可能だ。ネット購入の場合は「楽天競馬」「オッズパーク」「SPAT4」の3社。社によって異なるが、馬券を購入するごとにポイントが付与され、例えば「楽天競馬」なら、そのポイントを利用して「楽天市場」で買い物もできる。
晩酌しながら馬券を購入するのも、コロナ禍ならではの楽しみと言えるだろう。
*「週刊アサヒ芸能」4月29日号より