救援陣は火の車!沢村賞投手・大野雄大が春先に勝てない真相

 昨季の沢村賞投手・大野雄大がDeNA打線に満塁弾を浴びるなどし、敗戦投手となった(4月6日)。勝率5割復帰をかけた一戦を落としたのも痛いが、気掛かりなのは、大野降板後、5人のリリーフ投手を投入したこと。大野と言えば昨季、10試合の完投数を記録した“投げたがり”である。救援陣の不調は、大野の先発ということで「今日は投げなくても」と捉え、急に肩を作り始めたからではないだろうか。

「後続は7回の頭からの登板でしたが、準備ができていなかったと思います。いきなり四球ですからね」(スポーツ紙記者)

 かといって、リリーフ陣ばかりは責められない。大野は“スロースターター”である。昨季も初登板から5戦続けて勝ち星ナシだった。今のところ、今季も2戦先発して負けしかついていない状態だ。

「スロースターターなのは、調整次第で克服できたのではないか?」

 そんな批判も聞かれた。

 本人も分かっていたはずだ。しかし、ハイペースで調整したくてもできない事情もあったようだ。

「昨季の10完投の蓄積疲労が今春のキャンプ早々から囁かれていました。本人、球団は否定していましたが、ブルペン入りしたのは遅く、キャッチボール、遠投は山なり。今年は球団85周年のメモリアルであり、大野のスタートダッシュは必須でしたが、怪我をさせたくないという雰囲気だった」(球界関係者)

 大野の武器は、右打者の内角をズバッと突く直球と、絶妙なタイミングで沈んでいくツーシーム。その両方にまだ本来のキレが出ていない。

 敗戦投手となった同日の試合後、大野は満塁被弾をさして、「ストライクを安易に取りに行こうとして」と述べ、打ったDeNA・神里との相性の悪さまで口にしている。弱気な口ぶりもちょっと気になる。

 投打ともにまだエンジンの掛かっていない中日が上昇するには、大野が再び救援陣を休ませる投球ができるかどうかに掛かっている。

(スポーツライター・飯山満)

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