「侍ジャパン」のベンチ裏(2)「サウスポーが2人だけ」投手編成の不安

 さらに、楽天の「五輪よりもペナント優先」という姿勢も、稲葉監督と激突することになった理由のようで、

「今年5月、楽天グループの三木谷浩史代表取締役会長兼社長(56)は、海外のインタビューで東京五輪の開催について聞かれた際、『まるで自殺行為だ』と発言していたほどで、石井監督の一存では決められない事案だった。ましてや『楽天モバイル』事業がスムーズに進んでいないため、ペナント制覇、その先の日本一が石井監督の至上命題ですからね」(スポーツ紙記者)

 ただ、この追加招集の一件で「稲葉ジャパン」の弱点が露呈するばかりか、その采配についての不安までもが聞こえてくることに。

「中川の代役は当初、左の中継ぎや抑えで探していましたが、結局は見つからず、しかたなく頼ったのが古巣の日本ハム。稲葉監督は栗山英樹監督(60)の後任とみられているし、侍ジャパンの金子誠ヘッド兼打撃コーチ(45)や建山義紀投手コーチ(45)も、日本ハム出身者ですからね。結局、ルーキーながら先発で7勝をあげている伊藤で落ち着いたのですが、大学日本代表で抑えを経験している点が評価されたようです」(スポーツ紙記者)

 伊藤について稲葉監督は「リリーフ適性の高さも評価している。インコースにもしっかり投げることができ、スライダーのコントロールもよく、初見では対応しづらい投手だと思う」と、NHKの取材にコメントしていた。

 とはいえ、投手11人のうち、サウスポーは中日の先発ローテーションの柱でもある大野雄大(32)と、阪神の中継ぎのエース、岩崎優(30)の2人だけだ。

「この2人では心細いですね。左のワンポイントタイプか、変則投法タイプが欲しかったとみる向きも多いのですが、稲葉監督が突然『先発が3枚しかいない』と慌て出して、球界OBや報道陣を驚かせているのが現状です」(スポーツ専門誌編集者)

 東京五輪の参加チームは前回の08年北京五輪の8チームから2チーム減って6チーム。オープニングラウンドを含めて5戦連勝で最短優勝できるため、先発3枚でも十分と思われるが‥‥。

「稲葉監督は『全勝優勝する必要はない』と公言している。それは北京五輪で1敗し、金メダルのチャンスが残っているにもかかわらず、焦りが生じて負けたことを教訓にしているから。今回は敗者復活を取り入れた『ダブルエリミネーション方式』が採用されているので、8戦5勝3敗でも優勝の可能性はある。戦いの舞台が夏場の屋外となれば、先発重視の投手編成も頷けますが、左腕2枚は少なすぎるし、現代野球であれば、絶対的な左殺しがいてもいいくらいです」(スポーツライター)

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