6月16日、侍ジャパンのメンバー、24人が発表された。稲葉篤紀代表監督は改めて「金メダル獲得」への思いを語っていたが、オリックスの好左腕・宮城大弥投手の落選に驚く声も多く聞かれた。今、もっとも勢いのある宮城を見たいと思うファンは多いが、海外メディアは別の意味で惜しんでいた。その理由は、奇しくも同日発表となったライバル国・韓国のメンバー編成にあった。
「韓国はKIAタイガースのイ・ウィリ投手を代表入りさせました。近い将来、韓国球界を背負って立つ好左腕ですよ」(現地関係者)
イ・ウィリは高卒1年目のルーキー左腕で、いきなり先発ローテーション入りを果たしている。所属チームのKIAだが、今季は投手難も予想されていた。左腕のヤン・ヒョンジョン投手がレンジャーズとマイナー契約してしまったためで、「そのエースの抜けた穴を誰が埋めるのか?」と不安視されていたところに現れたのが、イ・ウィリだった。
成績は11試合に登板して、3勝2敗。直球は140キロ台後半から150キロ台前半だが、キレ味はバツグン。ゆったりとした投球フォームから投げ下ろすため、数字以上に速いという印象を与えているそうだ。
「韓国代表入りした投手10人のうち、左は2人しかいません。イ・ウィリが日本戦に投げてくると思われます」(前出・同)
海外メディアはこのイ・ウィリと宮城の投げ合いに期待していたようだ。ライバル国の若手左腕の話を聞かされると、日本はヤクルト・村上、ソフトバンク・柳田、オリックス・吉田、日本ハム・近藤など主軸バッターに左打者が多いこともちょっと気になる。巨人・岡本の落選も悔やまれるが…。
「メジャースカウトは東京五輪を視察するつもり。球場に入れるのかどうかまだ分かりませんが、イ・ウィリはチェックリストに入っているはず」(米国人ライター)
高卒1年目ということで、日本サイドはイ・ウィリに関する情報をあまり持っていない。一連のコロナ禍で出場国の主要メンバーに関するデータ収集もかなり遅れているそうだ。
稲葉監督が絶大な信頼を寄せているのが、中日・大野雄大投手だ。ヤンキースで先発ローテーションを守り抜いた田中将大投手、昨年オフにメジャー交渉を打ち切った巨人・菅野智之投手もいる。高卒ルーキーに抑え込まれたなんてことになったら、一大事だ。とにかく、左腕・大野には「格の違い」を見せつけてもらいたい。
(スポーツライター・飯山満)