ゴーンだけじゃない!名物経営者「転落の奇跡」(7)ペジーコンピューティング・齊藤元章

 NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」に“スーパーコンピューター開発者”として出演する予定が一転、放送6日前の2017年12月5日、突如として東京地検特捜部に詐欺容疑で逮捕され大騒動となったのが、「ペジーコンピューティング」の当時の社長・齊藤元章被告だ。
 
「齊藤被告は国立の研究開発法人である新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から、水増しした助成金約4億3100万円を搾取していたことが発覚し、さらに翌年1月には法人税約2億3100万円を脱税したとして再逮捕されました。昨年5月には保釈金8000万円を納付し保釈され、現在公判中。一方のペジー社については9月、東京地裁が、齊藤被告が経理担当者に脱税を指示したと認定した上で、“齊藤被告による私物化を防げなかった責任は重い”として罰金6000万円の判決を言い渡しています」(全国紙記者)

「天才」と言われた齊藤被告の経歴は、あまりに華麗だ。

「新潟大学医学部を卒業後に、東京大学医学部付属病院放射線科医局に入局。3次元CT画像に時間軸を加えた世界初となる4次元CTを発表し、米シリコンバレーで医療画像システムの開発会社・テラリコン社を創業。2011年からは日本に拠点を移し、スパコンの開発を手がけていくことになるのです」(経済誌ライター)

 2014年にはペジー社の兄弟会社で齊藤被告が会長を務めていたExaScaler社が開発した高エネルギー加速器研究機構(KEK)のスパコン「Suiren」が、省エネ性能を競うGreen500で世界第2位にランクイン。翌年には理化学研究所と共同開発したスパコン「Shoubu」が1位を獲得し、世界にその名を轟かせた。

「しかし、一方で齊藤被告には極端な浪費癖があるとされ、約2億円でレース仕様のフェラーリを購入したり、家賃350万円の高層タワーマンションに住んだりと、そのド派手な生活ぶりが話題になりました。そのため、搾取した助成金についても、趣味のレースに注ぎ込んだのではとも言われたんです」(週刊誌記者)

 沈んだ天才が再起することはあるのか。

(小林洋三)

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