コンサルタント会社「シュアーズ」と同社の佐野宗吾朗社長が、計約5000万円を脱税したとして、東京国税局から刑事告発された。両者は主婦や会社員などに「転売ビジネス」を指南していたといい、社長は自身も転売ヤーだった。
「佐野社長は動画投稿サイトで『せどりで稼ぐ方法』などを紹介したり、セミナーを開いて醤油や味噌などを転売して利ざやを稼ぐ方法などを指南していました。しかし、2021年11月までのおよそ4年間に一部の売上を隠したり、架空の経費を計上するなどして、法人税や所得税など約5000万円を脱税した疑いがもたれています。脱税で得た利益は投資などに充てていたということです」(社会部記者)
同セミナーを受講していた生徒も国税局からの問い合わせを受けたそうで、今後はセミナー生にも税務調査が行われる可能性があるという。
会社員や主婦が転売で収入を得た場合、年間所得が20万円を超えると確定申告の必要がある。だが、実際には多くの転売ヤーが無申告だという。ネット上での取引まで細かく調査しないだろうと安易に考えている人も多いようだが、19年度の国税庁の調査では転売ヤーのおよそ9割の無申告が発覚している。
「なぜ、ネットの取引が把握できるのかといえば、ネット上にはすべての記録が残っているからです。むしろ、不正を見抜きやすいのです。しかも、国税当局には電子商取引を扱うスペシャリストが在籍しており、怪しい情報があれば個人のブログやSNSまで徹底的に調査するといいます。また、無申告に関する情報を幅広く受け付けていて、通報によって転売ヤーの無申告が露見することもあるようです」(フリージャーナリスト)
多くの利益が出ているにもかかわらず無申告を決め込む悪質な転売ヤー。だが、税務署員の目はごまかせないと肝に銘じるべきだろう。
(小林洋三)