長引くコロナ禍の影響で景気が落ち込む中、社員を一時帰休させる企業が増えている。最近ではJRグループ各社が相次いで発表。JR東海は1月25日から1日あたり400人規模、2月に入ってからもJR西日本が同1000人規模、JR九州は6日から同550人規模で今月末にかけてそれぞれ一時帰休を実施中だ。
ただし、コロナ禍で一時帰休という言葉こそやたら耳にするようになったが、詳しい内容を知らない人は多いはず。そもそもこれはどんなものなのだろうか? 人事コンサルタントが次のように解説する。
「一時帰休とは、文字どおり、社員を一時的に休ませること。業績悪化時に企業が行う対応策のひとつです」
ちなみに期間について法的な制限などはないが、JR各社のように比較的短期のものが一般的だ。ただし、ANAが昨年4月から1年間の予定で客室乗務員を対象に行っている一時帰休のように長期におよぶ場合もある。
「勘違いしている人も多いのですが、JRやANAの一時帰休は本来定められた休日とは別に休みが設けられ、普段より少し休みが多いという状態。実は、これが一般的な一時帰休なんです。昨年4〜5月の緊急事態宣言中には出勤も自宅でのテレワークも一切なく、事実上の長期休暇と化した一時帰休を実施する企業が相次ぎましたが、あくまでこれは異例のケースです」(前出・コンサルタント)
実は、一時帰休中は平均賃金の6割を従業員に支払うことが労働基準法で定められている。そのため、長期間仕事から外すのであれば、半年や年単位で休ませたいなら業績回復時の再雇用を前提としたレイオフ(一時解雇)やリストラのほうが経費削減になるわけだ。
「外国企業はその辺はドライなのでコロナ禍でも経営難になれば社員のクビを平気で切っていますが、日本では企業イメージの悪化を恐れて積極的に進められません。そのため、少しでも人件費を抑えたい会社側の苦肉の策が一時帰休なんです」(前出・コンサルタント)
ちなみに一時帰休の間は、本来禁止されている会社でも副業が認められている。ただし、その場合も削減された給料分を超えない範囲との条件が付くため、注意しておこう。
(高島昌俊)
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