アベノミクスと富裕層、高級キャンピングカーの意外すぎる関連性とは?

 昨年の新語・流行語大賞。トップ10に「ソロキャンプ」が選ばれたことで、表彰式にヒロシが呼ばれ、「自分じゃないんだけどな」、「なんでいまさら」とコメントしたことが話題となった。

 コロナ禍で「3密」を避けるレジャーのキャンプが流行ったからなのは言うまでもないが、そのキャンプで使うキャンピングカーが飛ぶように売れているという報道があった。「キャンピングカー白書2018」(日本RV協会発行)によると、国内キャンピングカー保有台数は右肩上がりで増え続け、現在使用しているキャンピングカーの購入金額で「1000万円台以上」と答えた人は2013年の4.5%から2017年は6.7%と増加しているのがわかる。

「ほかにも輸入高級車やヴィトンやエルメスなどの高級バッグがよく売れ、高級時計からジェット機まで買える高級オンライン・マーケットも人気だそうです」(経済ジャーナリスト)

 これらの購買志向を支えているのが、日本の富裕層の増加だ。

「全国のコロナ関連倒産は800を超え、さらに収束が長引いた場合は約3分の1の飲食店が廃業を検討すると言われている中、株価はバブル以来29年ぶりの高水準で、富裕層はいっそう潤うというおかしな状況になっています」(前出・経済ジャーナリスト)

 こういった状況を裏付けるような調査結果が報告されている。野村総研が行った、2019年における資産規模別の世帯数の推計だ。それによれば、資産1億円以上の富裕層は133万世帯あって、その資産合計額はなんと333兆円にも上り、05年以来過去最高だという。

 全体では、資産5億円超の超富裕層が約8.7万世帯、以下、1〜5億円の富裕層が約124万、5000万〜1億円の準富裕層が約342万、3000〜5000万円のアッパーマス層が約712万、そしてそれ以下のマス層が約4216万世帯となっている。

 そしてこれらの層毎に経年の変化を見ると格差社会が広がっていることがわかる。マス層の世帯数は年を追うごとに着実に増えていて、中間のアッパーマス層は増えたり減ったりの一進一退なのだが、富裕層と準富裕層は13年から急に増えている。超富裕層は少し遅れて15年から大きく増やしている。

「13年と言えばアベノミクスがスタートした年です。アベノミクスで指摘されたのは、『富める者が富めば、貧しい者にも富が分配される』という、いわゆるトリクルダウン理論。しかし、この推計値を見ればまるで下にまで届いていないことがわかりますね」(経済部記者)

 野村総研は同時に、「富裕層・超富裕層」のオーナー経営者を対象にしたアンケート調査を実施。消費や生活の変化で、3番目に多かったのが、「ソーシャルディスタンスを意識した旅行をするようになった」(47%)というものだった。

 1億円以上の資産をもつ富裕層にとって、1000万円の高級キャンピングカーなどは安い買い物なのかもしれない。
 
(猫間滋)

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