藤川球児が踏み出した「阪神監督」への一歩、「NHK解説者」を務める意義

 藤川球児氏が2021年シーズンからNHKのプロ野球解説者を務める。昨年12月26日に自身のツイッターで「NHKプロ野球解説をする事になりました」とコメントしたのだが、阪神OBの解説者といえば「関西系メディア」というイメージが強い。藤川氏の引退に際し、テレビ、新聞など多くのメディアから専属契約のオファーが殺到したはず。また、球団や他の先輩OBにも相談しただろう。

「鳥谷敬が退団した昨年オフから、藤川氏が将来の監督候補と囁かれるようになりました」(在阪記者)

 NHK解説者から監督に就任したOBは少なくない。また、監督経験者がNHK解説を務めるケースも多い。ステータスという面では、プロ野球界は「民放よりもNHK」なのかもしれない。

「NHKのプロ野球中継は、民放のようにイニングの合間にCMが入りません。近年では各々の解説者に担当コーナーを持たせ、独自の視点でプレーを説明しています。プロデューサーやスタッフとアイデアを出し合うのですが、それが勉強になるそうです」(球界関係者)

 NHK解説者は全員というわけではないが、ニュース番組で野球以外の中継に携わることもあれば、他競技のアスリートへのインタビュー取材を務めることもある。こちらも経験と人脈作りにつながる。特別補佐としてタイガースにも籍を残したことも考えると、NHK解説者となることに対し、背中を押したのは阪神球団かもしれない。

「クローザーはブルペンでモニターテレビを見ながら、登板準備を始めます。自身の出番か否か、ゲーム展開を読む力は長い経験とともに養われています。解説席からグラウンド全体を見て、その後、いよいよという流れを思い描いているのかもしれません」(前出・在阪記者)

 NHKの体質なのかもしれないが、同局解説者はどちらかというと、ご意見番的な年長者も多い。藤川氏は「お小言」も頂戴することになりそうだ。来シーズン、イニングの合間にどんな野球観を語るのか、そこに“球児タイガース”のビジョンもありそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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