資産1億円超の富裕層が増加傾向、コロナ禍で「貧富の差」が拡大する理由

 12月21日、野村総合研究所が富裕層に関する調査を発表し、2019年の純金融資産保有額が1億円以上の富裕層は約133万世帯となり、調査開始以降過去最多となったことが判明した。

 同調査は05年から2年おきに実施されており、野村総研によればこれまで最も多かった17年の調査よりも1億円以上を保有する富裕層が6万世帯増加し、13年以降からは増加の一途をたどっているという。また、富裕層の金融資産保有額は17年から11.1%増加して333兆円になったと推計している。

 17年からそこまで景気が良くなったとも思えないが、なぜ今の日本に富裕層が増えているのだろうか。

「富裕層急増の理由は、端的に言ってしまえばアベノミクスによる株高が最大の要因と見られています。第2次安倍政権発足時の12年末の日経平均株価は1万円前後でしたが、19年末には2.6倍の2万6000円台に到達したので、それだけ金融資産保有額も上がっているわけです」(経済評論家)

 また、12月21日に日本銀行が発表した20年7〜9月期の資金循環統計によると、個人が保有する現金・預金は前年比4.9%増の1034兆円と過去最高を更新している。

「これはもちろん、政府が支給した特別定額給付金を多くの人が預金した影響もあるとは思いますが、日経平均は新型コロナウイルスの影響で一時は1万6000円台まで落ち込んだものの、現在は再び2万6000円台後半で推移していますから、今年も富裕層は着々と増えているということではないでしょうか」(前出・経済評論家)

 コロナ禍によって貧富の差はより大きくなっていきそうだ。

(小林洋三)

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