鏡餅や門松で飾り、初詣や年賀状など新年を祝う風習は今も数多く残っている。その多くは日本独自の文化だが、新年の祝い方は国によってさまざま。なかには命を落とす者さえいる危険な祝い方をするところもある。
実際、アフリカや中南米、アラブ圏だけでなく、米国のような銃の所持が認められている国でもお祝い事の際、空に向けて銃を撃つことが珍しくない。ちゃんとした儀式というわけではなく、テンションが上がって祝砲感覚でぶっ放したに過ぎないが、いくら人に向けてはいないとはいえ空に撃ち上がった弾は万有引力の法則で地上に落下してくる。弾の大きさや形状によっては大きな危険が伴い、ケガだけでは済まないというわけだ。
米テキサス州では2019年の大晦日、落下した祝砲の弾が当たった61歳の女性が死亡。2020年の正月には、防弾チョッキを着ていたおかげで無事だったが、オハイオ州の保安官の胸に弾が直撃する事故も起きている。
筆者も10年前に年末年始の休暇でインドを訪れた際、滞在先の街の広場で年明け直後、空に向けて銃を発射する若者を目撃。その直後、雲の子を散らすように彼の周りから人々が一目散に離れていった光景を今でもよく覚えている。
そのインドでは正月ではないが、2018年に結婚式の祝砲で花嫁が亡くなる痛ましい事故が発生。まさか一生に一度の晴れ舞台で命を落とすなんて本人も思わなかっただろう。
ちなみに打ち上げられた銃弾は、水平方向に撃つよりも風の影響を受けやすい。重火器に詳しい専門家は「風に流されて数十メートル離れた場所に落下することもある。銃声を聞いた瞬間、できるだけ現場から離れ、可能なら屋内や屋根のある場所に避難したほうがいい」と話す。
コロナが落ち着いたら年末年始に海外旅行を計画している人もいるだろう。でも、国や地域によっては年明けの瞬間に危険が伴うことも覚えておこう。
(高島昌俊)