テレワーク中の眠気を一発解消!?「酸素スプレー」バカ売れの理由を徹底検証

 コロナ禍によるテレワークがすっかり定着した昨今。企画の発案や文章作成など、パソコンに向かうデスクワーク中ならまだしも、なんとリモート会議の最中に、突然睡魔に襲われる人が急増しているという。

 IT企業の販売促進部に勤務するAさん(45)も、リモートで部下との打ち合わせの途中、堪えようのない睡魔を感じて会議を一時中断させてしまった一人だ。

「今年5月にテレワークが始まって、ちょうど半年。最初の頃はわからないことばかりで緊張もありましたが、最近はリモート会議等も段取りが良くなり、慣れてきたのは事実。なので、睡魔が来るのもおそらく気の緩みからだろう、くらいに思っていたんです。ところが、先月あたりから睡魔だけではなく、集中力や意思決定にも支障をきたすようになってきて……。そこで、医師を訪ねたところ、リモートワークで酸素が欠乏している可能性があると診断されたんです。なんでも二酸化炭素濃度の高い室内にいると、突然睡魔が襲ってきたり、仕事のパフォーマンスが著しく低下する場合があるらしく、寒さで換気がおろそかになり始めたこの時期になり、私と同様の症状を訴える患者さんが増えはじめているそうです」

 実際、2012年には、米ローレンス・バークレー国立研究所とニューヨーク州立大学の研究チームが、仕事中や授業中に襲ってくる睡魔の原因が、オフィス内や教室内の二酸化炭素濃度の上昇にあることを突き止めたという報告もある。科学ジャーナリストが解説する。

「研究チームは、二酸化炭素濃度を600ppm、1000ppm、2500ppmに調整した3つの室内に、24人の被験者を2時間半滞在させ、意志決定能力を調べるテストを行いました。すると、二酸化炭素濃度が上昇するにつれ、テストの得点は著しく低下するという実験結果が出た。通常、屋外の二酸化炭素濃度は380ppm程度ですが、オフィス内では1000ppm程度になり、しかも換気設備がなければ、濃度は当然上昇します。これは自宅においても同様で、暖気を逃がすまいと窓を閉め切った部屋で、一日中テレワークしていたら、二酸化炭素濃度は一気に上昇し、2500ppm、3000ppmに達する場合もある。そうなれば、仕事の能率を著しく低下させる可能性が十分あるということです」

 いやはや、こんなところにまで、リモートによる弊害が及んでいたとは驚くばかりだが、そんな背景を受け、今、ネット通販などで缶タイプの「酸素スプレー」の売れ行きが好調だという。

「酸素スプレー」とは、もともと登山やスポーツなど激しく体を動かすときに役立つアイテムだが、最近では「眠気覚まし」や「リフレッシュ」を目的に購入する人が少なくないのだとか。前出のジャーナリストが語る。

「酸素スプレーには、一定量の中に酸素以外のものがどれくらい含まれているのかを示した『酸素純度』があり、大半のものが90%以上。ただ、なかには純度95%以上のものもあるので、安全性を重視したい場合は、できるだけ酸素純度の高い商品を選ぶのがおすすめです。なお、現在販売されている酸素スプレーは、1缶5L入りで50〜60回使用できるものが中心ですが、10〜15L以上のものもあるので、使用頻度や使い方に合わせて選ぶのがいいでしょう」

 酸素スプレーは数回使用できるため、使用のたびにマスク部分を取り外して洗えるようなタイプを選ぶほうが衛生的にもベスト。価格は容量や機能性によっても異なり、500円前後〜8000円前後と幅広いが、自分のライフスタイルに合わせて選べばいいだろう。

 換気するのが煩わしくなってくるこれからの時期。手元に置いた酸素スプレーが強い味方になってくれるかもしれない。

(灯倫太郎)

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