ダルビッシュ有が「サイ・ヤング賞」を逃したことで、“アノ話”が再燃してきた。
「同賞の発表は11月11日(現地時間)、その直前まで、カブスの地元であるシカゴのスポーツ欄では『その可能性は高い』と報じていました。同賞を逃したことでカブスもいよいよ決断するのではないかという見方が強まってきました」(米国人ライター)
可能性が指摘されていたのは、何を隠そうトレード放出だ。シーズン終盤から「あり得る話」として伝えられており、7日付のシカゴ・デイリーヘラルド紙(電子版)では、
《ダルビッシュとヘンドリクスの両方か、どちらかの放出が財政建て直しの第一歩となるだろう》
とも報じていた。
サイ・ヤング賞を争った主力投手の放出が囁かれる理由は、新型コロナ禍による収入減に尽きる。カブスはすでに100人以上の球団職員を解雇、あるいは、一時離職させている。失職した大勢のスタッフを救済するには年俸2200万ドル(約24億2000万円)のダルビッシュ、同じく主軸投手の一人で年俸1200万ドル(約13億2000万円)のヘンドリクスの放出は止むを得ないというわけだ。
シカゴ・トリビューン紙も、ダルビッシュ放出の可能性が高いと伝えていた。
《昨オフ、パドレスがダルビッシュに興味を示していた。パドレスはエースを探しており、そのためにメジャーリーグのレベルに達した大量の若手を交換要員として用意している》
カブスはベテランの多いチームでもある。年俸がまだ安く、ある程度計算の立つ若手を得られるのなら、利害関係は一致する。また、こんな声も聞かれた。
「TV局CBSが『メッツ有力』との予想を立てています。ただ、メッツは今オフのFA市場で大物捕手の獲得を狙っており、その結果次第とも言われています。新しくオーナーになったコーエン氏は、『個人財産が140億ドル(1兆4420億円)もある』とも紹介されたので、太っ腹なところを見せて、チームを底上げするかもしれません」(前出・米国人ライター)
ダルビッシュは6年の長期契約を交わしており、来季がその4年目となる。カブス移籍後の最初の2年間は故障などもあって振るわなかったが、3年目の今季は二番手捕手のカラティーニと意気投合。トレードとなれば「大型契約の引き継ぎ」に伴う大金が必要となり、大金に相応しい活躍をしてもらうにはこのカラティーニとのセット移籍も考えなければならない。
「登板前、日本式のお灸を右腕にやるのをルーティンとしています。お灸信者で、そのうちCMの話もくるんじゃないかという話です」(特派記者)
新規CMの話が舞い込めば、その分は値引きしても良いと言うのなら、カブスはもちろん、トレードを仕掛けてくる球団の対応も違ってくるのだが…。サイ・ヤング賞の選考が終わっても、彼の周辺はいまだザワザワしているようだ。
(スポーツライター・飯山満)