【全文公開】八百長、違法薬物、野球賭博…貴闘力が角界タブーを激震暴露!

 鋭い立ち合いからの攻め相撲で名をはせた元関脇の貴闘力が、まさかのユーチューバーに転身した。その内容たるや、現役時代を彷彿させる切れ味で、「八百長問題」や「野球賭博」など相撲協会が耳を塞ぎたくなるようなタブーをメッタ斬り。角界の裏を知る男は何を語ったのか。

〈協会の人間がうみを出し切ったって言うけど、正直、1割しか出していない。残り9割を出して、戦々恐々としている人もいっぱいいる〉

 何かと不祥事の絶えない相撲界にメスを入れるべく立ち上がったのが、大相撲元関脇の貴闘力(53)だ。

 9月25日に自身のユーチューブチャンネル「貴闘力部屋〜相撲再生計画〜」を開設した貴闘力は、自身の体験談をもとに、蔵出しの赤裸々なエピソードや、相撲に詳しくない人にもわかりやすい解説を披露。スタートから10日余りでチャンネル登録者数は2万人を超え、「初場所」から好発進でユーチューバーとしても出世街道を驀進している。

 それもそのはず、その内容たるや、まさに角界に気兼ねなしのガチンコ動画がズラリ。第3回の動画では「八百長問題」に触れ、再生回数は11万回を突破。動画内で貴闘力はこう語る。

〈千秋楽が終わりまして、見事に正代が優勝しました。この1年ずっと見ているけど、3月場所の徳勝龍(34)といい、今回の正代(28)といい、本当に八百長なしで一生懸命頑張っているから、称賛に値すると思いますよ。15日間、一番もやっていないんでね。そういう人間がこれからどんどん出てきたらもっと相撲がおもしろくなる〉

 貴闘力が全盛期の90年代から00年代前半は、まだ「八百長」が暗黙の了解として存在したといわれていた時代だ。それを考えれば、現在は隔世の感があるのだが‥‥。貴闘力はこう話す。

「正代は十両の時に半年ほどトレーニングを見ているので、八百長をする力士でないことは知っています。それでも相撲界にとって永遠のテーマだろうね。問題になっても、今も完全にはなくなっていないし、証拠がないので証明するのが難しい。お相撲さん同士はふだんから見ているし、狭い世界だから何となく聞こえてくるものなんです」

 08年8月に発覚した「違法薬物事件」にも、当事者として果敢に切り込んだ。当時、間垣部屋前頭筆頭の幕内若ノ鵬(32)が違法薬物に手を染めた容疑で逮捕。その翌月に相撲協会が十両以上の力士に抜き打ちで尿検査を行うと、露鵬(40)と白露山(38)に“陽性反応”が検出された。特に露鵬が大嶽部屋所属だったことで、師匠の貴闘力に疑惑の目が向けられる事態に。貴闘力は動画の中で、コトの真相を明かすのだ。

〈俺はたばこも吸わないから、外国人がマリ××ナ吸ってもわからない。いきなり調べられて反目の親方がその時の理事長を追い落とそうとして企てた。だいたいコイツら吸ってるなって。警察の人が九州場所まで来て、俺3回警察に行って事情聴取されて、3回目に『親方、捕まえたりしないから正直に。結局、最終的に主犯は親方でしょ、って』。ふざけんな。俺はたばこも吸ったことないのに、勘弁してくれよ〉

 当時、相撲協会は「理事長派」と「反理事長派」の代理戦争の様相を呈していただけに、そうなると誰が情報を流したのか。

「それについては今後、ユーチューブで明らかにする」と、貴闘力は不敵にうなずくのだった。

 貴闘力といえば、先代・貴ノ花が率いた藤島部屋(のちに二子山部屋)の次男坊として、若貴とともに一時代を築いた人気力士だ。02年9月場所で現役引退すると、その後は部屋付き親方として後進の力士の育成に努めていたが、10年に野球賭博問題で相撲協会を解雇になったことは記憶に新しい。その約5カ月前には、当時、貴乃花親方(48)が二所ノ関一門を離脱し、相撲協会の理事選に強硬出馬。貴闘力は参謀役として初当選に貢献し、いよいよ協会の改革に打って出るタイミングでもあった。

 その「野球賭博」について、動画内で当事者である本人の口から真実を語っている。

〈二所ノ関一門は悪い風習があって、『十両に上がったんだから700万円持ってこい』って。かわいそうな人間は親が田畑を売って化粧まわしをして、そんなバカな話があるか。(中略)俺の時はなんとか集めたのが300万円くらい。知り合いの人に預けたっていうけど、死んだオヤジに金預けたら、全部使うてもうた。腹くくって化粧まわしつけないで綿のまわしで土俵に上がってやろうと決めていた。十両に上がって悩むんじゃなくて、道具で悩む。グローブが買えないとか、そんなレベル。たまたま大井競馬場に行った。10万円握りしめて。1レースから10レースまでじっとにらみ倒して、この馬だっていう馬だけ2頭を一発勝負で。一発目は10万が160万円になった。もう一発と思って枠連で2頭だけ光っていて、160万円全部かけて400万円にしたの。そのお金で化粧まわしを買った〉

 競馬で大勝ちしたまではよかったが、それがきっかけでギャンブル熱が沸騰。しかも当時は幕内に上がると、先輩力士が野球賭博をしていたという。

〈今親方やっている人もいっぱいいる。20年、30年たっているけど、訴えられたら150%負ける。証拠がない、口張りだから。(野球賭博は)証拠を出しちゃダメなのに、(当事者の中には)携帯のメールで『どこどこに20』とか、こいつら恐ろしいヤツらだって。無知なヤツは本当に怖い。警察はメール通信は5年たったら消えるなんてウソ。10年、20年も出る。(中略)朝から昼まで練習して昼寝して、夕方から自由時間だから、その時間を利用してやる。1割はバックで取られるから、100万円張ったら1割を取られて90万円がくる。直接じゃなくて中継みたいな人がいて。中継の人は反社じゃなくてお相撲さん上がりの人間とか。それで遊んでいたら、どこかで聞きつけた人がいて、週刊誌に売るぞって。そこで初めて野球賭博が公になった。野球賭博していた仲間が40人くらいいたの。警察に相談したほうがいいよねって話になり、相談したら警察のヤツも出世したいから週刊新潮に売った。それがクビの真相〉

 問題発覚後、解雇や謹慎休場した力士が大量に出たことで、「現在は野球賭博をしている力士は1人もいない」と貴闘力はキッパリと言う。

 角界では「お米」に関する話題にも事欠かない。現役時代の貴闘力が所属していた藤島部屋(のちの二子山部屋)は、元大関の貴ノ花(藤島親方)が率い、若乃花と貴乃花の両横綱を輩出するなど、我が世の春を謳歌した。91年には若貴兄弟が幕内上位で活躍し、「若貴フィーバー」が巻き起こると、貴乃花が92年10月に宮沢りえ(47)と婚約を発表。「世紀のカップル」と注目を集めるも、あえなく婚約破棄となった。その当時、相撲協会は世間の耳目を集めた貴乃花に対し、信じられない「処分」を下したという。同じ部屋にいて間近に一部始終を見てきた貴闘力は、義憤を交えながら相撲協会を告発する。

〈宮沢りえちゃんと婚約したくらいの時に、貴乃花のCM1本のギャラがだいたい1億円以上あって、20社くらいのオファーがあった。そしたら理事長は『土俵で稼げ!』って。それでコマーシャルなし。バカじゃねえのって。野球選手でも1億、2億もらっている人がざらにいるのに。夢があっていい。テメェらの金稼ぐことばかり考えてんじゃねえよって。本当にいちばん大事なのは力士。いちばん給料をもらわないといけないのは力士〉

 さらに続けて、相撲協会の時代錯誤な姿勢にはこんな思惑もあったとか。

「力士が自分たちより稼ぐのがおもしろくなかったのかもしれない。小学生みたいだけどね。貴乃花自身はお金を稼ぐ感覚はない。商売がうまいわけないし、相撲しかやってないんだから」

 貴闘力の舌鋒は、現役横綱・白鵬(35)にまで及ぶ。優勝回数44回、通算1170勝の記録を残しているが、一方でエルボーのようなかち上げが物議を醸してきた。くだんの動画で白鵬対策をこう指摘する。

〈戦い方はいくらでもあるし、白鵬に顔バンと叩かれたら倍返してやればいいのに、なんでみんなびびっているのか、コイツらバカじゃねえの。根性ねえのかな。なんで白鵬がかち上げするのか。白鵬の全体の体を見てて足が外側にO脚になってるわけ。O脚ってことは足の内側の筋肉が弱いってこと。相手の当たりがバンと来られると本当に嫌。だからかち上げて相手を止めたり、張って相手を横にそらして取るわけだよ。体幹が強いヤツなら、張られてもそのまま来られたら、(白鵬が)吹っ飛ばされる。それができていないから稽古不足だね〉

 タラレバだが、もし白鵬と取組をしたら「貴闘力関」ならどうするのか。

「かち上げで打たれるのを前提で我慢する。肘と頭はどっちが強いかといえば、圧倒的に頭。そこで一気に攻める」と豪語した。

 これまでユーチューブでいろいろとぶちまけてきた貴闘力だが、暴露話が本来の目的ではない。相撲界の再生に名乗りを上げ、壮大なプランと目標を立てていた。

「大きく分けて5つ。1つは相撲協会の収入と支出を明確にすること。2つ目は相撲を辞めたあとのセカンドキャリア、3つ目は相撲部屋の改革、4つ目は育成システム、5つ目は八百長問題に取り組んでいきたい。再生計画は15年のスパンを見据えていて、今の0歳の子供が15歳になったら相撲取りになる年齢に育つ。それまでの間に形を作れればと。そのためにも、動画をきっかけに共感していく人を増やしたいんです。すでにNHKの名作ドラマ『おしん』全297話分くらいまで投稿する分は決まっているんで、まだまだ埋もれた真実を話していきますよ」

 角界浄化のため、土俵外の戦いは始まったばかりだ。

※「週刊アサヒ芸能」10月29日号掲載

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