日本を震撼させた「賭博スキャンダル史」賭け麻雀をめぐる「蛭子vs東尾」の因縁

 ギャンブルや宝くじで一攫千金を狙うのもいいけれど、忘れてはいけないのが賭博罪。身内同士で大金を賭ければ警察沙汰に‥‥。日本を震撼させたスキャンダルを振り返る。

 賭け麻雀による摘発のケースは数多ある。98年11月に逮捕されたのが、漫画家の蛭子能収氏(74)だ。

 東京・新宿歌舞伎町の雀荘で卓を囲んでいたところ、従業員や他の客らとともに現行犯逮捕された。

 芸能評論家の竹下光氏が振り返る。

「『暴力団関係者が賭博をしている』とのタレコミを受けて雀荘に警察官が踏み込み、たまたま居合わせた蛭子さんが御用となりました。レートは1000点で200円の〝リャンピン〟で、その日は9000円ほど勝っていたそうですが、全て没収。それよりも、すでに決まっていた20本以上のテレビの仕事が消えて、4カ月近くタレント活動を自粛することになったダメージの方が大きかったでしょうね」

 略式裁判で罰金10万円を支払った蛭子氏は会見で、

「ギャンブルの中では麻雀が一番好きだったが、今は牌も握りたくない。今後は公営ギャンブルだけにします」

 潔く麻雀断ちを宣言したものの、低レートでの摘発には納得がいかなかったようで‥‥。

「蛭子さんが陰口を叩いて『懲役ものじゃないのか』と〝ビーンボール〟を投げたのが、元プロ野球選手で野球解説者の東尾修さん(72)。現役時代の87年のシーズンオフに賭け麻雀を行ったとして書類送検され、半年間の出場停止と2500万円の減俸処分を受けました」(前出・竹下氏)

 スポーツ紙のデスクが後を引き取る。

「東尾さんは東京・麻布十番にあったヤミ雀荘に通っていたようです。レートは1000点1000円の〝デカピン〟で、約3時間で10万円ほど負けたとか。球団から厳しい処分を受けたことが考慮されて不起訴処分となったのです」

 同じ球界の大物でも、麻雀ではなくポーカー賭博で逮捕されたのが、巨人の〝V9戦士〟の柴田勲氏(78)だ。

「現役引退後、野球解説者として活躍していた92年に逮捕され、謝罪会見を開いたのですが、その際にトランプ柄のセーターを着ていたのは今も語り草となっています」(前出・スポーツ紙デスク)

 その野球界も賭博のネタにされていた。10年には複数の力士や相撲関係者が暴力団を胴元とする野球賭博に関与しているという〝大相撲野球賭博問題〟が勃発。大関・琴光喜(46)や16代大嶽親方(54)=現・タレントの貴闘力=が相撲協会から解雇された。

 もっとも、動いた金の大きさで言えば、大王製紙元会長の井川意高氏(57)のケースが桁外れだ。

 11年に海外カジノに使用する目的で総額106億8000万円の資金を子会社から借り入れたことが発覚。会社法違反(特別背任)の容疑で逮捕・起訴され、13年に懲役4年の実刑判決が確定して服役。大手紙の社会部記者は言う。

「井川さんは16年12月に仮釈放され、翌17年6月に刑期を満了しています。ただ、今年6月に出版した著書『熔ける 再び そして会社も失った』(幻冬舎)によると、刑期満了後には韓国のカジノで3000万円を元手に一時は9億円まで増やしたものの、その後に全てを失ったというから懲りない人ですよね」

 ギャンブル依存の落とし穴は、どんな成功者でも飲み込んでしまうのか。

マネー